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英国を先に格下げすべきと発言したノワイエ仏中銀総裁

 ECBの政策委員会メンバーであるノワイエ・フランス銀行総裁は、テレグラム紙とのインタビューで、格付け会社について「不可解で不合理だ」と述べるとともに、フランスの前に英国こそ格下げされるべきだと語ったそうである。

 米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は5日に、ユーロ圏15か国の格付けを「クレジットウォッチ・ネガティブ」にするとした。見直し作業は90日以内に行われ、50パーセント以上の確率で実際に格付けが下げられるそうである。

 格下げされる場合は、最も高いトリプルAの格付けを持つ6か国のうち、ドイツ、オランダ、オーストリア、フィンランド、ルクセンブルクについては最大で1段階、フランスについては最大で2段階の引き下げになるという認識を示した。

 これについてノワイエ総裁はインタビューで「格下げは経済ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)に基づき正当化されるとは思わない」と指摘した。それはそれで確かではあろうが、続けて「仮にそうであるなら英国から格下げすべきで、英国の財政赤字の方が大きく、債務も多く、インフレ率が高いうえに成長率は低く、銀行融資も崩れている」と強調したそうである。

 先日のEUサミットでは、ユーロ圏の財政規律強化で基本合意したものの、EUに加盟している27か国による基本条約改正では合意できず、条約改正を通じた財政規律の強化については英国が反対した。英国のキャメロン首相は、首脳会議に提案された内容は英国の国益に沿わなかったと発言していたが、今回のノワイエ総裁の発言は英国への八つ当たりのようにも思えなくもない。

 ここでIMFの財政モニターを元に、イギリスとフランス、ついでに日本の財政赤字と債務残高を比較してみると、財政赤字(2011年予測、GDP比)についてはイギリスが8.5%、フランスが5.8%、日本が10.5%。続いて債務残高(同)は、イギリスが82.9%、フランスが84.8%、日本が233.2%。

 財政赤字についてはイギリスがフランスを上回ってはいるが、債務残高に関してはほぼ同水準と言えるのではなかろうか。

 英国では成長予想の下振れ予想で、2011年と12年の国債発行額見通しを大幅引き上げたが、格付会社フィッチは追加財政赤字削減措置が実施されない限り、英国にはAAA格付けを維持しながら、新たな経済および財政上の衝撃を吸収する財政上の能力はほぼ尽きていると指摘した。

 しかし、S&Pはユーロ圏15か国の格付けを「クレジットウォッチ・ネガティブ」とした際に、特に英国についてはコメントしていなかった。

 EU首脳会議の内容だけで、関連諸国を格下げするぞ、という格付け会社の動きにも問題はあろう。ノワイエ総裁も、格付け会社は「経済よりも政治」を議論するようになっていると述べたそうだが、その通りだと思う。しかし、だからといってある意味フランスの宿命のライバルともいえる英国を巻き込むのはいかがなものかと思うのだが。


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by nihonkokusai | 2011-12-16 08:09 | 国債 | Comments(0)
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