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「中学生のための個人向け国債の賢い買い方 その2」


第2話「郵便局の役割」

 「起立、礼、よろしくお願いいたします。着席!」

 さて、今日は郵便局のお話をしよう。小泉首相が「郵政民営化」というのをすすめようとしていたことは知っているよね。ところが参議院で郵政民営化関連法案が否決されてしまったために、衆議院を解散して国民に是非を問おうとしたんだ。えっ、難しすぎるって。うーん、たとえば生徒会長に立候補したK君がいたとしよう。毎年富士箱根方面に行っていたのだけれど近隣の中学校はみんな関西方面に行っている。そこで、K君は生徒会長への立候補に当たり、修学旅行を関西方面とすることを公約としたんだ。そして見事生徒会長に当選を果たしたのだが、あっさり職員会議でそれは否決されてしまった。そこでK君は、全校生徒集会を開いて生徒に「関西旅行に行きたいか!!」と聞いたところ、大多数の生徒が「行きたい!!」と答え、結局、職員会議でも再度検討された結果、関西旅行が決定したというわけだ。(一部脚色あれどこれはほぼ実話、私は中学生時代、生徒会の会長を務めておりました。関西には行けなかったけど、翌年からは・・・)

 ということで関西旅行と郵便局の民営化にはほとんど共通点はないものの、国民の多くが郵政を民営化すべきと思っているということが、選挙結果とした現れたことは確かだね。それではなぜ郵政は、いや郵便局という便利なものを民営化しなくてはいけないのだろうか。

 前回、郵便局にお金を預けることが貯金で、銀行に預けることは預金だと言ったのを覚えているのかな。正確に言うと農協(JAバンク)、漁協 (JFマリンバンク)に預ける際にも預金ではなく貯金と言っているそうだよ。貯金はあくまでお金、特に小銭を貯めるといった感じだよね。預金はお金をまさに預けておくこと。預けるとなればそれなりにまとまった額がイメージされるんじゃないかな。

 つまり郵便局の郵便貯金は、わたしたち庶民が少しずつお金を貯めていくためにできたものともいえるんだ。宵越しの金は持たねえ、なんて江戸っ子を気取ってないで、もしもの病気とかなったことも考えて、節約に努めて、少しでもお金が余ったら郵便局に預けなさいということなんだ(郵便貯金開設当時の広告などに掲載)。国が作ったものなんだから、安心して預けられるという利点もあったのじゃないかな。そもそも銀行ができた当初は大口のお金しか預かってくれなかったらしいんだ。そのうち小口のお金も預かるようになったものの、庶民の金融機関としては郵便局が便利で身近で安心だったのだろうね。

 身近で便利で安心、その上利子もそこそこ高いとくれば、みんな郵便局にお金を預けるよね。それがたまりにたまって200兆円以上にもなってしまったんだ。想像もできないよね。日本人の貯蓄好きがそうさせたなんて解説もあるけど、もともと日本人ってそんなに貯蓄好きではなかったはずなんだ。先ほどの江戸っ子の話はどうも本当のようなんだ。ところが、明治時代以降、国が産業を育成するために、庶民には倹約してお金を貯めることを勧めた結果、いつのまにか貯蓄好きな国民となってしまったようなんだ。

 国民みな貯蓄に励み、銀行にお金が溜まると、銀行はそのお金で事業会社などにお金を貸していったんだ。会社は資金を借りて設備投資などを増やす。つまり工場を増やしたり、そのための必要な土地を買ったり機材を買ったりするんだ。そうやって日本は戦後も大きく経済成長を遂げたというわけさ。これがいわゆる間接金融と呼ばれるものなんだ。わたしたち庶民が直接お金を企業に貸すのではなくて、間に銀行が入ってちゃっかり鞘を抜いているわけだ。

 そもそも、わたしたちはお金を銀行に預けていると思っているけど、よく考えると、本当は銀行にお金を貸してあげているいるんだよ。もちろん家に置いておくと、奥さんに見つかってしまう、じゃなくて、盗難の危険とかもあるし、金庫に置いておくのもいいけどそれでは利子も付かない。誰かに貸して利息をもらうにも返してもらう保障もないし、どこに貸せばいいかわからない。それならば預けてもらいましょうと銀行があるわけなんだ。

 銀行にすれば預かってやっているし、利子まであげるんだ、文句あっかというわけで、昔の銀行窓口では場合によってはかなり待たされた上で事務的な対応で銀行にお金を預かってもらったんだ。今ではATMができて便利になってはいるけど、お金を貸しているのに機械に「ありがとうございました」といわれるだけで利子もほとんどついてない。えっ、何か銀行に恨みでもあるのかって。いや特にそんなことはないのだけれど。

 でもなんか変だよね。しかも銀行はわたしたちのお金を今度はしっかり企業に「貸して」あげるんだ。しかもしっかり利息を取って。企業も銀行が貸してくれないと資金繰りがたいへんだから、銀行様様になる。銀行が儲かる仕組みがこれでわかったかな。えっ、やっぱり銀行に恨みか何かあるんじゃないかって。だからそんなんじゃなくて、そういえばそもそも郵便局の話じゃないか。そうだった。話を今度は郵便局に戻そう。

 それでは郵便貯金に集まったお金はどうなっているのだろうか。これがまさに複雑怪奇なんだ。というか、政治家にとってたいへん都合の良いシステムが構築されてしまって、ここにあまーい蜜のにおいがしたわけだ。やや複雑なシステムだけど、寝ないで聞いてほしい。

 郵便貯金で集められた資金は、年金の積立金といったものと一緒に、大蔵省の資金運用部というところに集められていた。えっ、今は大蔵省じゃなくて財務省じゃないかって。まあまあ、それはあとで説明するって。その資金運用部というところに集められたお金は預託という形で統合して運用され、その資金を国債とか、国や地方公共団体、そして「特殊法人」などの事業の原資として貸し付けることで運用されていたんだ。だから眠らないでくれ、こんなわかりにくさが、既得権益を握っていた人たちには都合が良く、だから郵政改革が必要だと小泉さんはがんばったわけなんだ。そして今度は特殊法人改革も不可避とみられている。この特殊法人については国債にも関わっていることもあり、今度あらためて解説したい。

 そして「この資金運用部の資金に簡保の資金などを加えた財政投融資といわれたものが、社会資本の整備事業や民間金融機関では供給困難な融資事業に政策的に必要な資金を供給してきました」と解説されていた。

 さあて、賢明な諸君ならば、この解説に何か矛盾点を見出せないかな。「社会資本の整備事業」とはこれまで小泉首相が問題視してきた道路や新幹線や空港整備などのことを示すと思われる。これは確かに国がやるべき事業かもしれないけど(とはいっても民間でもできる部分も相当あるはず)、あくまで資金運用部を通じて「貸してもらっているんだ。しかも、民間金融機関では「供給困難な融資事業」ということは、銀行などが、返してもらえる保障もないような危ないところにお金を貸しているということにもならないかなあ。これって、返済の可能性という意味ではそんなに高くはないようにも思えるんだけど。

 つまり、本来ならばお金がなくて、なかなか建てたりすることができないものも、こういった資金を使うことで可能となる。建設業界なんかにとってはお仕事くれるんだから、こりゃいい制度だよね。地元の人も、おおっ、高速道路ができたとか、新幹線が来たぞなんて喜んでくれる。議員さんにとっては、選挙区の人たちに喜んでもらえる上に、地元でお金を落としてもらえば、それだけで次の選挙は、うっしっしともなりそうだよね。

 でも、それに待ったをかけたのが小泉さんとも言えるんだ。もう国も莫大な借金抱えて、身動きも取れなくなっているのに、そんな使える資金があるからと、自分達のために勝手に使われたらたまったもんじゃないよね。名目は地元民、いや国民のためと言うかもしれないけれど。

 と、その前にこの財政投融資制度というのはすでにある程度改革されていることも言っておかなくちゃならないよね。だからさっきはわざと財務省といわずに大蔵省と言ったんだ。現在では郵便貯金のお金は郵便局、つまり現在の郵政公社が自分で運用することになった。これで少し安心したかな。それじゃあ、これまで資金運用部で借りていたところはどうしたんだろうね。自分達で借りられれば借りようと債券を発行したりしたんだけど、それも無理となったら、財投債という国債を国が発行して貸してくれているんだ。でもこの財投債というのは、結局、私たちの借金でもあったりする。そんな話はまた今度。それでは、本日はこれまで。

「起立、礼、ありがとうございました。着席!」
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by nihonkokusai | 2005-11-02 09:33 | 国債 | Comments(0)
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