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トリプルAの国債がレッドデータブック入りも?

 仏ラ・トリビューヌ紙(電子版)は、複数の関係者情報として、S&Pがフランスの最上級格付けの見通しをネガティブに変更する可能性があると報じたが、これに対しS&Pは格付けに関するうわさにはコメントしないと答えたそうである。

 そして、英国では成長予想の下振れ予想で、2011年と12年の国債発行額見通しを大幅引き上げたが、格付会社フィッチは追加財政赤字削減措置が実施されない限り、英国にはAAA格付けを維持しながら、新たな経済および財政上の衝撃を吸収する財政上の能力はほぼ尽きていると指摘した。

 フランスも英国もそれぞれトリプルAと呼ばれる最上位の格付けを得ている国であるが、このようにこの最上位格付けが引き下げられる懸念も出てきている。

 やはり最上位格付け国であるところのドイツについても、いまのところ格下げの懸念はないものの、23日の国債の札割れが象徴的なようにユーロの信用不安に対してドイツの役割が期待されている分、財政負担が増加することで、今後の財政悪化が懸念されるところである。

 そして、最上位格付けを誇っていた米国についても、今年8月にS&Pは長期格付けを最上位のAAAからAA+に1段階引き下げている。

 そのS&Pのサイトから、現時点での最上位格付け(AAA)の国をピックアップしてみると、英国、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、シンガポール、スイス、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、フランス、香港、リヒテンシュタイン、ルクセンブルクとある。

 数の上では、まだまだトリプルAの国はたくさんありそうだが、実際に世界の国債などの公共債に占めるトリプルAの割合はそれほど多くはない。

 今度はTheCityUKのサイトの「Bond Markets 2011」というレポートにある「Domestic bond market by nationality of issuer」というデータを見てみたい。

 この中のPublicという項目の中に、日本 11,213、米国 10,746、イタリア 1,975、フランス 1,696、中国 1,617、ドイツ 1,556、英国 1,344、カナダ 971、スペイン 606、その他 6,150、世界合計 37,874とある(単位10億ドル、2010年)。

 このように国債を主体した公共債の発行残高には国により大きな違いがある。このうちS&Pの格付け上は、ツートップを形成している日本(AA-)、米国(AA+)はすでに最上位にはなく、次のグループのイタリア(A)、中国(AA-)、スペイン(AA-)も同様である。

 もし仮にフランス、英国、そしてドイツあたりまでトリプルAを失うようなことになれば、残高上での上位陣ではカナダが残るだけとなってしまう。世界中の国債の中でのトリプルAの国債の残高比率は8月の米国の格下げですでに大きく減少しているが、さらに今後は減少してしまう懸念もある。いうなれば、世界の国債の中でのトリプルAの国債がレッドデータブック(絶滅危惧種)入りしてしまう可能性がある。

 格付けが国債の信用度を適格に示しているかどうかは疑問と前回のコラムで書いたが、それでも資金運用者にとっては大きな尺度である。金融資産の中では巨額の資金を運用でき、ラストリゾートとされる国債ではあるが、格付けで見る限りそのラストリゾートの面積はかなり狭まってきていると言える。


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by nihonkokusai | 2011-12-01 08:49 | 国債 | Comments(0)
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