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債券先物のスピード重視は必要なのか

 2011年11月21日から、東証の債券先物のシステムが大きく変更された。取引時間の変更以外に、使い勝手も変わったようである。

 寄り付きや引けでは、成り行き注文が出せなくなり、ザラ場中の指し値は付き値から20銭上下のみで、そこを抜けた注文はキャンセルされる。ザラ場の成り行き注文も付き値から上下20銭までとなり、残りはキャンセルとなる。

 そして、前場と後場の引けの最後の2分間はクロージング・オークションタイムと呼ばれ、約定しないで注文をためて、板寄せ処理のためのつき合わせを行う時間となる。つまり成り行きがなくなったため、完全合致とはいかなくなり、引け値と同値で指し値をしていたとしても約定されない可能性がある。

 実際に債券先物の端末を見たり操作したわけではないが、このシステムはスピードがだいぶアップされているようで、値動きが小さければ問題はないが、何か材料が出て大きく動いたら人間の目で対処できなくなる可能性がある。

 以前の債券先物のシステム変更の際も同様であったが、債券先物のシステムでスピードを重視する意味が果たしてあるのかどうか甚だ疑問である。コンピュータや通信システムの進歩により、注文や約定がすぐに反映されることは大事であろうが、値動きが目にも止まらぬ速さとなってしまっては、使い勝手はむしろ悪くなる。

 そもそも債券先物とは現物債のヘッジとして存在しているものである。その現物債の取引は投資家と業者が相対で取引を行っており、それは光の速度で行われているものでは決してない。そのヘッジツールだけが速度で一人歩きする意味が果たしてあるのであろうか。

 これについて、市場参加者の方から次のような声も出ている。ご本人の了解の元に掲載させていただく。

 「そもそも債券先物というのは現物国債売買のヘッジの為に存在している訳でありまして、その現物国債の売買というのは基本的に店頭売買市場であって、投資家と業者(あるいは業者同士)の間で人間が介在して人力売買をしているというのが通常の姿であり、そういう人たち的には別に高速回転売買取引などをする必要性は乏しいのであります。」

 つまり世界標準ということで高速回転売買に便利な取引システムに変更するというのは、日本で債券を売買している投資家や業者を念頭に置いているというよりも、海外ヘッジファンドなどを意識したものと言える。確かに債券先物の売買における外国人のシェアは高いが、彼らは日本国債そのものはほとんど保有していないのが実情である(日本国債の海外保有率は全体の5%程度)。

 そしてスピードを意識したことの裏返しで、上下20銭以上の成り行きや指し値注文をキャンセルするシステムとなったようだが、問題は1998年の運用部ショックのような事態が発生したときである。今回のシステム変更により見せ玉と呼ばれるような離れたところに、大口の売買を晒すようなことはできなくなるが、大きく値段が動いたような際の対処が難しくなるのではなかろうか。

 欧州の信用不安が発生してからは、日本国債は安全資産として買いが入り、相場の値動きが最も大きくなる売り相場、つまり急落というケースは希となっている。昨年の小沢ショックの売りもそれほど大きなものではなかった。しかし、ブラックスワンではないが今後、いまは安全資産とみなされている日本の国債市場が何かのきっかけで急落することは十分にありうる。

 相場の世界は突然、変化が生じることがある。そして債券相場の変動の兆候はいち早く債券先物に現れる。しかし、肝心の債券先物で国内投資家などのヘッジそのものが困難となってしまっては意味はない。海外投資家が利益を得るために債券先物が存在しているわけではないはずである。


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by nihonkokusai | 2011-11-23 11:38 | 債券市場 | Comments(0)
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