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年金債(仮称)の発行とは

 11月21日付けの日経新聞によると、政府・民主党は将来の消費税収を返済資金とする年金債(仮称)を発行する方向で調整に入ったそうである。

 基礎年金については2004年の年金制度改革で、2009年度までに国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げると定めた。少子高齢化や保険料の納付率の低下に伴い国庫の負担割合を増加させたわけであるが、それにより年間2.5兆円程度の財源が必要となる。

 2011年度末までに消費増税を法律で決め、2012年度以降分を増税で賄うとの方針となっていた、そのため2009から2011年度の3年間は特別会計の積立金などの埋蔵金で財源をやりくりしていた。

 ただし、今年度分については東日本大震災からの復興のために、今年度第1次補正予算の財源として独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金などから捻出した2.5兆円を流用した結果、それは復興債で補填することとなった。

 しかし、2012年度については埋蔵金などでの捻出は難しいとして、基礎年金の財源調達に目的を限った国債、通常の赤字国債などとは区別した新たな国債を発行することを検討しているようである。この年金債(仮称)は復興債と同様に償還財源を明確にした国債となる。

 ちなみに復興債の償還財源は所得税、法人税、個人住民税などによる臨時増税となる。償還期間は当初の15年から25年に延長され、復興増税法案は来月初めまでには成立する見込みとなっている。

 年金債(仮称)の発行は将来の消費増税を確実にし、財政再建路線をより明確化することが大きな目的とみられる。ただし、消費増税については準備法案そのものも来年3月末までに国会に提出する予定となっており、実際に消費増税が可能なのかどうかは不透明である。

 野田首相は今月初めのG20首脳会議で「2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%までに引き上げる」と発言し、これを事実上の国際公約とした。しかし、現在の日本の長期金利は低位安定しており、その分、危機感も薄く、また過去の選挙結果によりで消費増税はタブー視されるなど、民主党議員の中にも増税反対派も多くいる。

 その中にあって復興債や年金債(仮称)の発行は、財政再建路線を強固なものにするためのひとつの手段であろうが、そのために必要なのは今後こそ消費税を引き上げなければならないことを国民にも納得させることであろう。

 消費増税はこれまで何度も先送りされてきたが、それで補うはずの社会保障費が伸び続けた結果、国の財政は年々悪化してきている。これを食い止めないと、いずれ欧州の信用不安が日本に伝播してくる可能性は十分にありうるのである。


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http://www.mag2.com/m/0001185491.html



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by nihonkokusai | 2011-11-22 10:12 | 国債 | Comments(0)
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