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国債の損失額と7%という分岐点の意味

 日銀が10月に公表した「金融システムレポート」によると、昨年度末の銀行資産に占める日本国債の保有割合は、大手行で22%、地域銀行で12%に達しており、債券利回りの上昇が経営に与えるリスクは拡大し、もし1%金利が上昇した場合の保有債券のリスク量は、2011年6月末で大手行、地域銀行ともに2兆円超の水準に達するとしている。

 それでは、国債価格が急落したとして、利回りの上昇額に対してどの程度、価格が下落するのかを単純計算してみたい。利付債の利回りから単価求める算出式は以下のようになっている(単利)

単価=(額面+利率×残存年数)/(額面+利回り×残存年数 )×100

 ここで利率1.0%、残存期間10年の長期国債があるとする。この利回り水準が1.0%のときの価格は上記の式で求めると100円となる。それではもし1年後(残存9年)に利回りが2.0%に上昇したとして上記の式に数字をあてはめて計算すると、価格は92.37円となる。同様に欧州の債務危機の際に長期金利の分岐点とされた利回り7%に1年後に上昇すると価格は66.87円となる。さらにギリシャの10年国債のように利回りが1年後25%に上昇すると価格は33.53円となる。

 アイルランドやポルトガルが金融支援を余儀なくされた水準であるところの長期金利7%という分岐点を突破した際には、欧州最大の独立系中央清算機関であるLCHクリアネットが証拠金を引き上げたことがひとつのきっかけとなった。LCHクリアネットの証拠金引き上げは、ベンチマークとなるAAA格の国債利回りとのスプレッドが一定程度開いたときに行われているようで、その水準が7%近いものとなっているようである。

 7%という水準が注目されるのは、上記の計算のように国債価格の下落が意識されるとともにLCHクリアネットの証拠金引き上げにより、国債を保有する金融機関が追加購入をしづらい状況に追い込まれた結果、買い手そのものがいなくなり、このため長期金利7%を超えた国は資金調達が困難となり、金融支援を仰がざるを得ない状況に陥る水準であったためと思われる。

 ユーロ圏の金融機関はリーマン・ショック後、安全資産として国債購入を増加させてきた。しかし、ギリシャ・ショックにより、それが裏目に出てきてしまった。日本や米国などでは自国の国債から他国の国債に乗り換えるには為替リスクが発生するが、ユーロ圏では通貨が統一されているため、為替リスクなしに域内の国債が購入できる。

 つまりギリシャが危ない、ポルトガルやイタリアが危ないとみれば、より安全な域内の国債に為替リスクなしで乗り換えられる。このため信用不安の広がりで、ドイツ連邦債と他のユーロ圏の国債の利回り格差が拡大している面もあろう。

 また、金融機関による国債売却がさらに利回り上昇を促し、その結果、新規の購入を手控えざるを得なくなるとともに保有する国債の損失額が膨らみ、資産圧縮に迫られて国債売却を行う必要も出てくるなど、まさに買い手がいなくなり、売り手が目立つ水準の目安として7%が意識されている可能性がある。しかし、7%という水準は絶対的なものではなく、あくまでひとつの目安に過ぎないことも確かであろう。


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by nihonkokusai | 2011-11-19 09:54 | 国債 | Comments(0)
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