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ECBによるイタリアへの対応

 今月1日にECB総裁に就任したのは、イタリア出身のマリオ・ドラギ氏である。その結果ECBの役員会は、イタリア出身のマリオ・ドラギ総裁、ポルトガル出身のヴィトル・コンスタンシオ副総裁に加え、スペイン出身のゴンザレス・パラモ氏、ドイツ出身のユルゲン・シュタルク氏、ベルギー出身のピーター・プラート氏、イタリア出身のビーニ・スマギ氏の6名の専務理事で構成されている。

 ちなみにECB役員会はECBの執行機関となっており、最高意思決定機関であるECB理事会が策定するガイドラインに従い金融政策を実施する(日銀のサイトより)。

 ECB理事会にはユーロ圏の17か国の中央銀行総裁も加わる。このため、マリオ・ドラギ総裁、ビーニ・スマギ専務理事、そしてイタリア中銀のイグナシオ・ビスコ氏総裁と、23人のECB理事会メンバーのうち3名のイタリア出身者が存在する。

 イタリアのベルルスコーニ首相は10月にビーニ・スマギ専務理事に対し、フランスとイタリアの関係がこれ以上冷え込むのを防ぐため、フランス出身のトリシェ前総裁が抜けることで役員会の席をフランス人に譲るとして、早期に辞任するよう求めていた。

 しかし、ビーニ・スマギ専務理事は任期が2013年までとなっており、辞任の強制はECBの独立性に対する攻撃であり、スマギ理事はECBの支持を得ているとしてそのまま専務理事にとどまっている。これには、理事会メンバーであるメルシュ・ルクセンブルク中銀総裁なども理解を示すような発言があったが、政治からの独立性を意識すれば妥当であろう。

 そして、そのメルシュ・ルクセンブルク中銀総裁は、もしイタリアが確約した改革を実行しないと判断した場合、ECBによるイタリア国債の買い入れを停止する可能性をECB内で、討議していたことを明らかにした。

 11月3日のECB理事会において、国債の買入増額などは行わず利下げを行った。ECBによる国債買入拡大にはドイツなどの反対があったためとみられるが、メルシュ総裁の発言を見る限り、そもそもイタリア国債の買入増額を議論できるような状況にはなかった可能性がある。

 メルシュ総裁を含めECB理事会メンバーからは、ユーロ圏債務危機解決に向けECBが最後の貸し手となることは望まないとの発言が繰り返されている。メルシュ総裁は責任を果たさない政府を救済するのがECBの仕事ではないとして、名指しはしていないものの、その政府は婉曲的にギリシャ、そしてイタリアを示していたものと思われる。

 イタリア政府は緊縮財政を確実に進めるため、IMFの監視を受けることで合意したと伝えられている。イタリアのベルルスコーニ首相は、2013年までに財政の均衡化を目指す一連の措置を提示したが、これが実行に移されるのかどうか他のユーロ加盟国、そしてECB内でもそれを危ぶむ見方も強いようである。

 欧州の信用不安がギリシャから直接、イタリアに向かいつつあり、これを回避するにはイタリアそのものが財政再建に積極的にならざるを得ず、だからこそ異例ともいえるIMFの監視も受け入れたとみられる。

 イタリア出身のマリオ・ドラギ総裁を含め、3名のイタリア出身のECB理事会メンバーは、かなり難しい立場に置かれているようにも見える。ドラギ総裁として最初のECB理事会では利下げという手段をとってきたが、そのカードは限られている。出身国を信用不安から救うためには国債買入増額とかではなく、財政再建を促すことが重要となる。しかし、それは国民の痛みを伴うものであり、また政権の実行能力にも問題が残る。イタリア国民の意識を変えられるものなのか、ECBによるイタリアへの今後の対応についても注意しておく必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2011-11-09 08:16 | 中央銀行 | Comments(0)
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