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欧州に新たな火種

 3日からG20サミットがフランス南部のカンヌで開かれるのを前に、近郊のニースで大規模なデモ行進が行われたそうである。欧州の債務不安を解消するため、欧州では増税や社会保障費の削減を進めているが、これに対する不満も強まっており、それが顕著に現れているのがギリシャである。

 ギリシャのパパンドレウ首相は31日に突然、ヨーロッパ連合が合意したギリシャの債務削減などを柱とする信用不安への包括戦略について、それを受け入れるかどうか国民投票を行うという考えを示した。2日には、内閣がパパンドレウ首相が提案している欧州連合による第2次ギリシャ支援策に関する国民投票の実施の支持を決定した、とも伝えられた。

 ギリシャでも財政緊縮策に向けた動きに国民の不満が高まっており、それが政治にも影響を与えている。4日には内閣の信任投票も予定されているが、与党議員が国民投票の実施に反対し離党し、与党の議席は300議席中152議席と過半数ぎりぎりとなった。さらに与党内の有力議員がパパンドレウ首相に対して辞任を要求するような事態となっている。

 パパンドレウ首相が国民投票の意向を表明したことで、1日にフランスのサルコジ大統領はドイツのメルケル首相と電話会談し、ギリシャに慎重な対応を行うよう促した。3日からのG20サミットの場でも、パパンドレウ首相と対応を協議するようである。

 ドイツのメルケル首相を中心になんとか合意にたどり着けた包括戦略も、このギリシャの対応次第では水泡に帰す可能性が出てくるなど、欧州の債務問題は後退するどころか、さらに深刻の度合いを強めつつある。

 1日の欧州市場では、ギリシャの10年物国債利回りが26%をつけるとともに、イタリアの10年債利回りも6.3%程度に上昇し、ECBが8月に市場からイタリア国債などの買い入れを開始して以来の水準をつけ、分岐点とみられる7%に向けて上昇圧力を強める懸念も出てきている。

 包括戦略では最終的に民間銀行が保有するギリシャ国債のヘアカット率について50%とすることで合意したが、イタリアやスペインの国債利回りが上昇してしまうと、民間銀行はさらなる損失を招きかねない。もちろん調達コストの上昇により、比較的健全ともいえるイタリアなどの財政の悪化要因ともなりうる。ひとつの国の債務問題の解決は非常に困難であることに加え、ギリシャの問題はユーロというシステムそのものに対する課題ともなり、問題を複雑化させている。

 3日からG20サミットでは、包括戦略をまず実行できる状況作りから始めなければならなくなった。その上で各国の協力を仰ぐこととなろうが、12月4日に実施される予定のギリシャの国民投票の動向次第では、欧州の信用不安が新たな局面を迎える可能性が出てきた。


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by nihonkokusai | 2011-11-03 08:21 | 国際情勢 | Comments(0)
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