8月に米国債を中国が大量売却した半面、スイスなどが大量購入
8月の中国の保有高は1兆1370億ドルで、引き続き最大の保有国となったが、7月の1兆11735億ドルと比べて365億ドルの大幅な減少となった。中国政府が、ひとつきに100億ドル以上の米国債を手放したのは、過去1年では例がないとNHKは報じており、その要因として格付け会社S&Pによる格下げなどを指摘していた。また、これは3兆ドルを超える中国の外貨準備高に対して、米国の債務問題や欧州の信用不安を受けての運用先の多角化を急いだ結果であるとしている。
たしかに中国は8月に大量売却しており、それは格下げが契機になった可能性はあり、外貨準備の運用先の多角化が大きな要因であると思われる。ただし、実は米国債の格下げにも係わらず中国の売却額以上を8月に購入していた国があったのである。
同じ米国財務省のデータによると、8月に英国が438億ドル、そしてスイスが391億ドル購入していたのである。また、カリブ海の金融センター(Caribbean Banking Centers)も325億ドル、日本も218億ドル購入していた。
英国やカリブ海の金融センターの購入の背景には欧州の信用不安を背景とした、ヘッジファンドなどを経由した中東やアジアからの逃避資金が流入していた可能性がある。それに対して、スイスによるこの大量の米国債の購入の背景は何であろうか。
過去一年間の動きを見ても、スイスによる米国債の保有額は1100億ドル前後で推移していたのだが、8月に入り急に1500億ドル近くまで膨れ上がっているのである。
スイスの中央銀行であるスイス国立銀行(Swiss National Ban)は9月6日に、スイスフラン高の抑制策として、スイスフラン相場の下限目標をユーロに対して1.20フランに設定し、無制限に外貨を購入する用意があることを表明した。それまでも介入は行なわれていたようだが、ユーロだけでなくドルも大量に購入していたのであろうか。
米国債の最大の保有国である中国による米国債の保有額の減少は気になるところではある。しかし、このようにそれ以上の金額を購入している国が存在していたことで、海外による保有額全体も7月の4兆4843億ドルに比べて、8月は4兆5725億ドルと増加しているのである。
米国債の格下げによる影響もこの動きを見る限り、それほど懸念する必要もないとみられる。8月増加分の多くは逃避資金による買いとは言えども、それは米国債に対する信用の現われとも言えるためである。
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