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ギリシャの管理されたデフォルトとフランスへの影響

 欧州金融安定化基金(EFSF)の機能拡充はユーロ圏17か国で批准された。この機能拡充案では融資能力の拡大のほか、流通市場での国債購入、現行の救済策の対象となっていない国への融資に加え、域内の銀行への資本注入が含まれている。

 つまり欧州域内の金融機関への資本増強の安全網が整ったことになる。ギリシャの債務削減については、すでに民間セクターの債権者は7月にギリシャ債務のヘアカット率について21%の削減で合意している。

 報道によると、ユーロ圏財務相会合のユンケル議長はヘアカット率の拡大に言及しており、また、ギリシャのパパンドレウ首相も、できる限りの債務削減について交渉中だ、と表明した。さらにフランスのバロワン財務相も、さらなる削減が必要なのは明らかだ、と述べたと伝わっている。

 どうやらギリシャ債務のヘアカット率、つまりギリシャ国債の削減率は5割程度になることが検討されていると見られ、23日に予定されているブリュッセルでのEU首脳会議で決定されるようである。

 このようにギリシャについては、管理型デフォルトに向けた動きが進みつつある。ギリシャ債務のヘアカットは実質的なデフォルトとみなされるが、過去のアルゼンチンやロシアなどのデフォルトとの事例とはやや異なり、管理されたデフォルトとの認識のようである。しかし、それでもOECD加盟国の中でははじめてのデフォルト事例ともなる。

 大幅なヘアカット率によっては、資本増強の枠組みが整ったとはいえども、域内金融機関の信用収縮を誘発する懸念も出てきている。すでにギリシャやイタリアの国債などを大量に保有していたフランス・ベルギー系の大手金融機関のデクシアは解体されることになった。デクシアは950億に上るとみられる不良債権を本体から切り離し、受け皿機関に移し、これにフランス、ベルギーが政府保証を与える。

 デクシアに対するフランスの負担はそれほど大きくはないとしても、ギリシャ債務のヘアカットにより、ギリシャなどへの融資額の大きなフランスへの負担が大きくなり、その結果、フランスが格下げされる懸念がある。

 17日には格付け会社ムーディーズがフランスの格付見通しを3か月以内に変更する可能性を指摘しており、見通しはネガティブへと修正するとみられ、先々のフランス格下げの可能性は現実味を帯びてきた。

 フランスが格下げされると、それが今度はEFSFに影響が及ぶ可能性がある。フランスが格下げされた場合には、残りのトリプルA格の国々が拠出負担を引き上げることが必要になる可能性が出てくるためである。

 ギリシャの債務不安の封じ込めに対して、ドイツそしてフランスを中心にここにきて積極的な動きを見せており、市場も一時楽観的なムードも広がりつつあった。しかし、ギリシャ債務のヘアカットにより、その影響がフランスなどに及べば、欧州の債務問題はあらたな展開を迎える可能性もある。まずは23日のEU首脳会議に向けた動きに注目したい。


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by nihonkokusai | 2011-10-18 08:33 | 国債 | Comments(0)
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