牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

来年度予算案の概算要求は過去最大の98.4兆円に

 5日に締め切られた2012年度予算案の一般会計概算要求は、98.4兆円に上ることになった。要求総額は3年連続で過去最高を更新した。

 国の予算編成の流れとしては財務省がそれぞれの省庁に対して、来年度予算として、どのくらいのお金が必要かを聞くところから始まる。これが翌年度予算において必要な金額を要求する概算要求と呼ばれるものである。

 概算要求の前に財務省から要求の基準が設定されるが、この基準が概算要求基準(シーリング)と呼ばれるものである。シーリングとは天井、つまりこの場合には要求の限度額の事である。

 2009年9月に自民党から民主党に政権が交代し、民主党は前内閣が決定したシーリングを廃止し、あらたな上限枠は設けずに、民主党のマニフェストの内容を反映した要求を求めた。ところが菅政権になってから概算要求基準が復活している。

 2012年度予算編成においては9月20日に概算要求基準が閣議決定された。概算要求基準では、政策経費を1割カットし、削減分の1.5倍まで再生枠に要求できるようにした。歳出の大枠を2011年度当初予算並みに抑える一方、復興費は別枠扱いで、要求に上限を設けないとした。一般会計予算全体では、国債費などを除いた政策経費の上限は今年度と同じ71兆円程度に、新規国債発行額を44兆円以下に抑えるとしている。

 概算要求基準に基づいて政府各省庁が財務省に提出する次年度の予算要求を行う。これが概算要求となる。各省要求額のうち、国債費や人件費などを除いた政策的経費はいずれも前年度当初予算を1割以上、下回り、概算要求基準を満たした。しかし、上限を設けずに受け付けた震災復興対策関連の要求額が3兆5051億円となったことで、全体が押し上げられた。

 国債費や復興関連経費を除いた歳出の大枠は72兆3635億円で、今後、中期財政フレームで定めた70兆9000億円以下の水準まで削り込むことになる。

 震災復興とデフレ脱却のための成長促進のためには、ある程度の規模の歳出も必要となろうが、いくら中期財政フレームで定めた経費を絞り込んでも、新規国債の発行規模は44兆円規模が予想される。

 2011年度予算では、歳出規模は92.4兆円、国債費を除いた基礎的財政収支対象経費は70.9兆円、そして新規国債の発行額は44兆円規模となっている。ただし、震災復興のための第三次補正予算によりあらたに復興債が発行される予定でもあり、国債の発行額は実質的に44兆円を上回ることになる。

 2011年度の税収は41兆円を見込んでいる。税収そのものは前年度に比べて増加しているようだが、それでも税収が国債発行額を下回るという異常な事態が続いている。

 巨額の借金を抱えながら、収入以上の借金をしているのが、現在の日本の姿であり、いまのところは資金の貸し手には困っていないとはいえ、このような状況がこのまま継続できるとは思えない。

 今年は東日本大震災と原発事後が重なり、復興のためには国の関与が必要となる。今後5年間の復興費は19兆円規模と政府は見積もっている。ただし、これまでの日本の財政を見てみても、財政再建をすすめようとするたびに、何かしらのショックや災害等により、その動きは抑えられ、結果的に歳出規模は膨らみ、税収は落ち込むというワニの口が形成され、それが一向に改善する見込みはない。

 本来、日本の国債の利回りが財政の健全化を示すモニターとして機能するはずであるが、モニターの針は10年以上、ひとつの基準ともみられる2%というラインを超えることなく低位で安定している。このモニターの数値を見ている限り、まだ借金を続けることは可能と見られる。

 ただし、ダムに溜まる水には当然限度がある。外から見て、そのダムの具体的な大きさや水の許容度はわからず、水が一杯になったのかどうかは、それが溢れ出すか、ダムそのものが崩壊してはじめて知ることになる。長期金利という財政モニターも水が溢れ出すのを確認するまでは、動かないのかもしれない。しかし、いったん溢れ出した水が確認されると、モニターの数値を一気に引き上げることになる。

 そのような状況に陥りさせないようにするにはどうしたら良いのか。とりあえずは、来年度の歳出規模をなるべく抑えることしかできないかもしれない。しかし、もう少し先を見据えての行動も起こしておかないと、いつか水は溢れ出すことも確かであろう。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

「牛さん熊さんの本日の債券」をメルマガで配信しております。

毎営業日の朝と夕方にその日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。
10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。
昼には、コラムも1本配信しています。
毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。
登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。
ご登録はこちらからお願いいたします。

http://www.mag2.com/m/0001185491.html
[PR]
by nihonkokusai | 2011-10-07 09:28 | 財政 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31