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ドイツ議会が批准したEFSF拡充案とは何か

 ドイツ連邦議会は29日、ユーロ圏の救済基金であるEFSFの機能拡充案を賛成523票、反対85票で可決した。EFSFの拡充案は7月のユーロ圏首脳会議で合意されたが、ユーロ圏加盟17か国による批准作業、つまり各国議会の承認が必要となる。

 27日にスロベニア国民議会がEFSFの拡充案を可決し、28日にはフィンランド議会が拡充法案を可決している。ドイツも可決したことで17か国中10か国が承認したことになる。ユーログループのユンケル議長は、ドイツの承認を受け、ユーロ圏加盟17か国による批准作業は10月半ばまでに完了する見通しとの見解を示した。

 ところで、このEFSF拡充案とはそもそも何であったのかを、あらためて確認したい。EFSFとは、「European Financial Stability Facility」の略で、日本語では「欧州金融安定基金」とも呼ばれているものである。

 欧州金融安定基金は、2010年5月のギリシャ危機を踏まえて、EU(欧州連合)の加盟国によって合意された、ユーロ圏諸国の資金支援を目的とした基金である。ルクセンブルクに本部を置き、株式会社として登録されている。ただし、2013年6月までという期限が設けられ、その後は恒久的な危機対応の機関として、2013年に欧州版のIMFともいえる「ESM(欧州安定メカニズム)」がEFSFの業務を引き継ぐ予定となっている。

 EFSFは、ユーロ圏各国の政府保証を裏づけに債券を発行し、それによって得た資金により支援を行なっている。この際に発行される債券、EFSF債は主要格付け会社からトリプルAの格付けを取得している。ちなみに、このEFSF債を日本政府は今年1月以来、外貨準備から27億ユーロ(全体の20%超に相当)購入した。野田首相はWSJのインタビューで、EFSF債をさらに購入する意向も示している。

 EFSFは最大で4400億ユーロの加盟国保証付きの欧州金融安定化債を発行できる枠を持つが、実際に融資可能な金額は2500億ユーロとなっている。このため、ユーロ圏17か国首脳は、今年7月にEFSFの融資能力を実質2500億ユーロから、4400億ユーロの枠をフルに利用できるようにすることを柱にした機能拡充に合意したのである。

 この機能拡充案では融資能力の拡大のほか、域内の銀行への資本注入、流通市場での国債購入、現行の救済策の対象となっていない国への融資も盛り込まれている。ただし、この拡充案の成立には、各国議会の承認が必要となる。

 ギリシャでは、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の3者合同調査団との協議が1か月ぶりに再開された。ギリシャは次回融資を得ることが出来なければ、10月中にも政府資金が枯渇するとみられている。ギリシャ向け融資の是非については、10月3日のユーロ圏財務相会合を経て、17~18日のEU首脳会合までの間にある程度の支援策がまとまらないと危機的状況となる可能性がある。

 このギリシャへの支援については、EFSFの機能拡充が大きな役割を果たすことが予想される。今回の機能拡充により、EFSF債券発行によって調達した資金を支援に回すだけでなく、ユーロ圏各国の国債購入が可能となる。また、銀行への与信枠を供与することなどの機能が追加されることで、欧州の債務危機に対して一定の鎮静効果も期待される。ただし、これが根本的な解決策になるわけではないことも確かである。


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by nihonkokusai | 2011-10-02 08:36 | 国際情勢 | Comments(0)
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