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ツイスト・オペの効果は一時的か

 9月21日のFOMCでは、残存期間6~30年の財務省証券4000億ドルを買い入れ、残存期間3年以下の財務省証券を同額売却するというプログラムを決定した。これは1961年のケネディ政権下で、ドル防衛のため短期資本を流入させることを目的として短期金利の上昇を促すとともに、設備投資促進などによる景気対策としての長期金利低下の両方の効果を促すため行なわれたことがあるツイスト・オペもしくは、オペレーション・ツイストと同様の手段である。

 ただし、今回のFRBによるツイスト・オペの主たる目的は、ドル防衛はさておき、より長期の金利に下向きの圧力を加えることにある。今回、住宅ローン市場の状況を支援するため、エージェンシー債(政府機関債)とエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)の元本償還資金をエージェンシー発行MBSに再投資することも決定したが、これは住宅市場への梃入れでもあり、ツイスト・オペも同様の効果を期待してのものであろう。

 この決定が発表されたあと米債は長い残存期間のものが買い進まれ、米10年債利回りは1.86%近辺に低下し、30年債はさらに買われて3%割れとなった。市場では4000億ドルという予想を上回る金額にも反応した面がある。

 しかし、すでに米国の長期金利は過去最低水準近くにあり、ここからさらに低下したとしても金利の下げ余地は限られている。ただし、FRBは今回のFOMCでも、現在の経済環境が続けば、少なくとも2013年半ばまで、FF金利を異例の低水準とすることが正当化される可能性が高いとの予想を声明文に出しており、米国の金利環境は当面維持されることが見込まれる。

 果たして今回のツイスト・オペはどの程度の効果があるのか。1999年2月に日銀の決定会合で、ツイスト・オペの効果について「ツイスト・オペは効かないというのが過去のいろいろなデータから平均的に出ている結果のような気がする」(植田審議委員、当時)、「長期金利にはやはり様々なエクスペクテーションが全て流れ込んでくる訳であるし、それを金融政策にとって都合の良い方向に誘導していくことは極く短期にはともなく、サスティナブルなベースでは出来ないのではないか」(山口泰副総裁、当時)との発言もあった。

 当然、FRBも過去のツイスト・オペについては検証済みであろう。それでも今回、ツイスト・オペの実施を決めたのはほかに有効な手立てがなかったためというのが本音ではなかろうか。アナウンスメント効果も意識したと思われるが、21日、22日の株式市場はむしろ急落しており、これを見る限り裏目に出た可能性がある。

 前回に引き続き今回もダラス連銀のフィッシャー総裁、フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁の3人が反対票を投じている。フィッシャー総裁は9月12日の講演後に、米経済が直面する問題があまりにも大きいため、その対応をめぐる当局者の意見は今後も分かれ、反対票が増えるとの見方を示したが、今回、反対票が増えることはなかった。

 中央銀行による国債買入などの非伝統的政策による望ましくない可能性として、「金融緩和が過度のリスクテイクや過剰な設備投資を促すことで、中長期的に景気の振幅を拡大したり、無規律な金融緩和が予期せぬタイミングで通貨に対する信認を喪失させたり金利高騰を招くという懸念」もある(宮尾日銀審議委員)。

 そのあたりのリスクにも配慮すれば、非伝統的政策への踏み込みも慎重さが求められる。そんな悠長なことを言っていられる経済環境ではないとの声もあろうが、中央銀行の金融政策はあくまで側面支援であることを認識しておく必要もあろう。


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by nihonkokusai | 2011-09-23 08:45 | 日銀 | Comments(0)
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