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日米欧によるドル資金供給、再び

 2008年9月18日、FRB、ECB、日銀、イングランド銀行、カナダ銀行、スイス国立銀行の日米欧の中央銀行6行は、金融市場に総額18兆円規模に上るドル資金を供給する協調策をまとめ、発表した。この際、日銀が国内市場でドルといった外貨を供給するというのは初めての試みとなった。

 それから約3年後の2011年9月15日、FRB、ECB、日銀、イングランド銀行、スイス国立銀行の日米欧の中央銀行5行は、10月から年末を越す期間約3か月のドル資金を無制限に供給する枠組みを設けることで合意した。

 3年前のドル資金供給は、同月15日に米大手証券リーマンブラザーズが連邦破産法11条の適用を申請したことを受けての金融市場の混乱、いわゆるリーマン・ショックを受けてのものである。欧米の金融機関の間では、互いの経営内容についての不信感が高まったことで、ドル資金の貸し借りがしにくくなっていた。 このため日銀も含めた主要な中央銀行がそろって、「最後の貸し手」として金融機関にドルを貸し出すことにしたのである。

 そして、今回の日米欧によるドル資金供給は、ギリシャを発端とする欧州の債務危機を受けて、米国の金融機関が欧州からのドル資金を引き揚げていたことなどから、欧州銀行の一部では、ドル資金の借り換えが難しくなっていたことに対応したものと思われる。

 格付会社のムーディーズは、14日に仏ソシエテ・ジェネラルの債務・預金格付けを、Aa2からAa3に引き下げ、仏クレディ・アグリコルの長期債務・預金格付けを、Aa1からAa2に引き下げた。ドルの資金繰り悪化が噂されていたBNPパリバの格付けは据え置いたものの、この格下げにより、欧州の金融機関がさらにドル資金の調達が困難となり、金融システム不安が拡大する恐れもあったことで、主要な中央銀行が早めに行動を起こしたともいえる。

 今回の市場の動揺を沈静化させるための日米欧によるドル資金供給であるが、一時的にはリスク回避の動きがやや収まると思われる。しかし、今回の欧州の債務危機が、3年前のリーマン・ショックと同様のショックなのかということを再認識させてしまうことにもなりかねない。

 リーマン・ショックを受けての各国中銀によるドル資金供給は、多少金融システム不安沈静化に有効であったと思われるが、しかし、その後の世界の金融経済の混乱に歯止めをかけることはできなかった。蜂の一刺し程度と思われていた日本への影響についても、金融と実体経済間の負の相乗作用が強まり、株価の下落とともに景気も大きく落ち込むことになった。

 日米欧によるドル資金供給による影響はあくまで欧州の金融機関の資金繰りを助けるものであり、その資金繰り悪化の根本的な原因である欧州の債務不安を解消するためのものではない。欧州の債務危機を回避するには、すでにドイツやフランスが積極的に行動を起こせるかどうかに掛かっている。

 ギリシャについてはデフォルトの懸念も出てきているが、それを回避できるのか、イタリアやスペインへの波及は抑えられるのか。これはユーロ圏各国の大きな政治問題となり、ユーロそのもののあり方も問われている。

 3年前の日米欧によるドル資金供給後のような世界的な金融経済の危機が今回も引き起こされるのか、それともリーマン・ショックをむしろ教訓に、その危機は回避されるのか。その危機が回避されるような見込みは、たっていないのが現状のように思われる。


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by nihonkokusai | 2011-09-17 13:24 | 日銀 | Comments(0)
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