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ユーロ内部の不協和音

 オランダのルッテ首相は、ユーロ圏の信用を回復するための中長期的な提言を議会に発表したが、この中で、財政規律を守れない国に対して、EUからの補助金を停止するといった制裁措置を強化し、EUの管理の下で財政再建を進める一方で、こうした制裁を受け入れられない国に対しては「ユーロ圏からの離脱を選択肢として用意すべきだ」としている。(NHKのサイトより)

 財政再建が進まないギリシャなどの国のユーロ圏からの離脱について、加盟国の政府が公式に言及するのは極めて異例となり、これに対してヨーロッパ連合の報道官がその可能性を否定するなど波紋が広がった。

 また、8日のECBの政策理事会後のトリシェ総裁会見において、ドイツがユーロを捨ててマルクに回帰するべきではないかとの記者からの質問に対し、トリシェ総裁は声を荒げる場面があったようである。

 ECBはこれまで、積極的にギリシャの債務危機を発端とする欧州の信用不安の拡大に対して、積極的な対応を行なってきたといえる。しかし、これに対して、同様に支援を行なっている欧州連合のドイツやオランダなどの国々からは、ギリシャなどへの支援そのものへの反対の声も強まっている。たとえば、8月18日に公表されたドイツにおける世論調査では、ドイツ国民の37%がドイツにとってマルク復活がより良いと考えていることが示された。

 さらにここにきては、ECB内部からの不協和音も出てきている。ECBユルゲン・シュタルク専任理事が「個人的な事情」を理由に辞意を表明したが、実際にはユーロ圏諸国の国債買い取りに反対して辞任を決めたのではないかとの観測が流れている。シュタルク氏はドイツの財務次官やドイツ連銀副総裁を経て、2006年6月からECB理事に就任したが、ECBがイタリアやスペインなどの国債買い取りを再開した際に、ECB理事会で反対票を投じたとみられている(ECBは多数決の結果や反対者は公表しない)。

 欧州の債務危機はギリシャばかりでなく、ポルトガル、スペインそしてイタリアにまで広がりつつある。ギリシャの10年債利回りは20%を超えてきており、スペインやイタリアの国債の利回りも5%台にある。そのためにECBがイタリアやスペインの国債の買い入れを行なうこととなったが、それは全員一致ではないことは伝わっていたが、これをきっかけに理事の辞任となれば大きな波紋を呼びそうである。

 信用不安を抱えている国にとり、財政再建のためにはある程度の景気回復が必要となるが、ここにきて米国のリセッション懸念が欧州にも及び、景気の低迷が余計に財政再建をいっそう困難にさせている。さらにまた欧州の金融機関への不安も強まりつつある。信用不安を抱える国への融資の多い銀行に対して、予想以上の損失が発生するのではないかとの懸念が出てきている。公的資金注入も必要との意見も出ているが、欧州の金融機関の問題もかなり深刻である。景気の低迷とともに、金融機関への不安により銀行株が下落するなどしたことで、欧州の株式市場もここにきてかなり波乱含みの展開となっている。

 ユーロ統一の象徴的な存在であるECBの内部も一枚岩ではないことがはっきりし、ユーロというシステムはこのまま危機が深刻化し、政治的な駆け引きに終始し、最終的に崩壊してしまうのか。それとも、この危機をバネにしてむしろ団結力を強める結果となるのか。欧州の問題は世界の経済にも深刻な影響を与えかねないため、その行方を注意深く見守る必要がある。

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by nihonkokusai | 2011-09-11 16:37 | 日銀 | Comments(0)
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