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スイス国立銀行の決意はうまくいくのか

 スイスの中央銀行であるスイス国立銀行(Swiss National Ban)は6日の日本時間の夕方に声明を発表し、スイスフラン高の抑制策として、スイスフラン相場の下限(フロア)目標を1ユーロ=1.20フランに設定し、無制限に外貨を購入する用意があることを表明した。声明では、スイスフランに対する過大評価はスイス経済にとって重大な脅威であり、デフレリスクの拡大につながりかねないと指摘している。

 この発表を受けて外為市場では、スイスフランが急落し、その余波で円も売られてドル円も76円台から77円台をつけた。また、金も非常に値動きの荒い展開となった。

 市場に一枚の挑戦状を叩きつけたともいえる今回のスイス国立銀行の決意は成功するのであろうか。過去、市場の投機的な動きに立ち向かった中央銀行に、たとえば1990年代のイングランド銀行がある。この際にはイングランド銀行はポンド買いで応戦するなど今回のスイス国立銀行とは方向性は逆ではあるが、投機筋に立ち向かった中央銀行であった。しかし、このときのイングランド銀行はジョージ・ソロス氏などによるポンドの売り浴びせに対抗しきれなくなり、結果として敗退している。

 方向性は反対ながらも今回のスイス国立銀行は、投機筋の動きを下限で封じ込めることができるのであろうか。イングランド銀行のポンド買い介入とは異なり、スイス国立銀行は自国通貨売りの介入となるため、理論上は無限大の介入が可能ではある。

 また、特に今回は相手がはっきり見えないだけに、イングランド銀行よりも対応はむしろ難しい面がある。そもそもその相手というのが、ユーロというシステムそのものへの市場の懸念であるだけに、なおさら難しい。スイスそのものに原因があるのならば、まだ対処しやすい面もあるが、逃避資金が流れてきている構図だけに、その流れを力ずくで食い止めることは難しいのではなかろうか。

 このスイスの動きに対し、スイスフラン同様に円も買い進まれていることで、日本政府も注視していると思われる。しかし、過去の日本の為替介入は決して成功してきたとは言いがたい。イングランド銀行ほどではないものの、介入そのものが投機筋の標的とされる懸念もあるためである。

 長らく市場に関わってきた身として、為替介入は成功することは難しいと考えている。無制限に資金を調達できる政府は最後には勝つといわれるが、残念ながらそれは理屈上のことであり、そのことは日本の財務省も嫌というほど味わってきたはずである。為替介入は、せいぜい流れをいったん止める程度にしかならない。

 今回の思い切ったスイス銀行の決意は、短期的には有効かもしれないが、ユーロに対する懸念が払拭されない限り、ブレーキの役割程度にしかならず、介入を行なうほどスイス国立銀行のリスクも拡大することになろう。結果として為替介入はこれだけ市場が発達している中にあり、決して有効な手段ではないことを、むしろ明らかにしてしまうことになるのではないかとも懸念している。


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by nihonkokusai | 2011-09-08 08:27 | 国際情勢 | Comments(0)
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