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色分けできない日銀の政策委員

 9月6日から7日にかけて日銀の金融政策決定会合が開催される。米国では20日に開催予定の米FOMCは追加緩和について議論するため1日延長された。さらに2日に発表された8月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前月比変わらずとなり予想の6~8万人予想を大きく下回ったことで、FOMCでの追加緩和への期待も強まっている。

 それを前にしての日銀の金融政策決定会合の動向にも注目が集まっている。しかし、円高のピッチが進むようなことがない限り、追加緩和は見送られるとの見方が強いようである。ただし、7日の白川総裁会見で景気の先行きや為替動向次第では追加緩和がありうることを示唆する可能性はある。

 ここにきて委員の間で今後の政策について見方が分かれていることが明確なFOMCに対して、日本の金融政策を決定する日銀の政策委員については個別の意見がはっきり見えてこない。全員一致での現状維持も良いが、ある程度委員間での意見の相違があるのは、当然なはずである。ところが、委員からの発言は白川総裁の意見をなぞることも多く、まったく色分けできないのが現状のように思われる。

 イングランド銀行でも、1年以上前から追加の量的緩和を主張しているボーゼン議員のような存在がいる。また、ECBでは8月から債券買い入れを再開したが、それは全会一致の決定ではなく、バイトマン独連銀総裁やドイツ出身のシュタルク専務理事ら4人が、債券買い入れに反対したとも伝わっている。

 日銀も4月の金融政策決定会合で、西村副総裁から資産買入等の基金を増額する独自案が出されたことがあったが、5月の会合では同様の提案はなされなかった。しかし、8月の金融政策決定会合で資産の買入れを10兆円から15兆円に、固定金利オペを5兆円から10兆円に拡大している。結果とすれば西村副総裁の提案が数か月後に決定されたことになる。

 西村副総裁は執行部の意見が対立することは好ましくないとして5月以降は独自議案の提案を控えた可能性はある。また、4月に西村副総裁の議案に賛成するであろう委員がいたが、結局、賛成に回らなかったことが要因であったのではとの見方も市場では出ていた。真相はさておき、結果論ではあるがそのまま西村副総裁は一人でも、自らの意見を通しておいたほうが、良かったのではないかと思う。

 現在の日銀の政策委員会委員を確認すると、総裁は日銀出身の白川方明氏、副総裁はやはり日銀出身の山口廣秀氏、そしてもう一人の副総裁は東大教授であった西村清彦氏、審議委員としては、実業界から商船三井出身の中村清次氏、三菱商事出身の亀崎英敏氏、神戸大教授であった宮尾龍蔵氏、東電出身の森本宜久氏、慶應大教授であった白井さゆり氏、住友銀行出身の石田浩二氏である。

 こうやって名前を並べてもそれぞれの委員がどのような意見を持っているのか、日銀の金融政策に詳しい人達もはっきりしていないのではなかろうか。出身母体としては日銀2人、実業界4人(内一人は銀行出身)、学者から3人となっており、それなりにバランスは取られている。しかし、個別の委員を見ると個別委員の色分けはむずかしく、しいて言えば白川色に染められているようにすら思われる。

 日銀は確かに現在、FRBやECBが行なっている政策を先んじてやってきているいわばパイオニアである(それが良いことかどうかはさておいて)。やることはやってしまった感もあるのも事実ではある。ただ、だからといって現在の金融政策が絶対に正しいものであると皆、確信を持っているのであろうか。

 FOMCでは委員間の意見がいくつかに別れ、バーナンキ議長の意見も現状、小数派に属しているようであるが、それについて賛同者を増やせるのか。また、前回の3人の反対者は、今度の追加緩和も反対してくるのか、反対するとなればどのような理由からなのか。意見が分かれると、それを集約する難しさもあり、それはECBも同様の問題を抱えている。

 しかし、金融政策には解答がひとつだけとは限らないし、その解答が正解であったのかどうかも、後に判断されるものでもある。異なる意見の対立があれば、どのように意見が集約されていくのか、その過程を見ることで金融政策の決定のプロセスも明確になる。しかし、皆、同じような意見となってしまうと、そのプロセスそのものがが見えにくく、ある意味、総裁が一人で決めているかのような印象すら残ってしまう。そういった印象を拭うためにも、日銀の決定会合でもう少し委員の間での特色を明確にしてほしいように思う。


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by nihonkokusai | 2011-09-06 08:28 | 日銀 | Comments(0)
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