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「日銀の国債買い切り」

 量的緩和解除観測が強まる中、日銀執行部はこれまであえて国債の買い切りには触れないようにしてきたようにも見受けられた。日銀総裁が速水さんから福井さんに代わってからの金融政策の変更時において決定的な違いがひとつある。日銀の当座預金残高を引き上げた際に国債の買い切りを増やし続けた速水さんに対して福井総裁に代わってからは一度も国債買い切りの額は引き上げられていないのである。

 2001年3月19日に量的緩和政策が取られてからの金融政策の推移をここで簡単に見て行きたい。

2001年3月19日
1.金融市場調節の操作目標の変更、金融市場調節に当たり、主たる操作目標を、これまでの無担保コールレート(オーバーナイト物)から、日本銀行当座預金残高に変更する。(日銀当座預金残高が5兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。)
2.新しい金融市場調節方式は、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続する。
3.日本銀行当座預金残高を5兆円程度に増額する(最近の残高4兆円強から1兆円程度積み増し
3.長期国債の買入れ増額、日本銀行当座預金を円滑に供給するうえで必要と判断される場合には、現在、月4千億円ペースで行っている長期国債の買い入れを増額する。ただし、日本銀行が保有する長期国債の残高は、銀行券発行残高を上限とする。

2001年8月14日

1.金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高をこれまでの5兆円程度から6兆円程度に増額する。
2.これまで月4千億円ペースで行ってきた長期国債の買い入れを、月6千億円ペースに増額する。

2001年9月18日
1.金融市場調節方針の変更、当面、日本銀行当座預金残高が6兆円を上回ることを目標として、潤沢な資金供給を行う。
2.公定歩合を0.15%引き下げ0.10%とし、明日より実施する。
3.補完貸付制度、補完貸付制度(いわゆるロンバート型貸付制度)の公定歩合による利用上限日数を、今積み期間(9月16日~10月15日)について、5営業日から10営業日に引き上げる。

2001年12月19日
1.金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
2.長期国債買入れの増額、これまで月6千億円(年7.2兆円)ペースで行ってきた長期国債の買い入れを月8千億円(年9.6兆円)ペースに増額する。
3. 金融市場調節手段の拡充(CP現先オペの積極的活用、資産担保CPを現先オペ対象と適格担保に加えるための実務的検討を早急に進める、住宅ローン債権・不動産担保証券を裏付け資産とするABSを適格担保に加えるための実務的検討を早急に進める。手形オペ・全店買入のオファー頻度引き上げ、国債買入・国債レポ・CP現先・手形売出オペの輪番制を廃止し全先に毎回オファーを行う)

2002年2月28日
1.年度末に向けた一層潤沢な資金供給、日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、当面、年度末に向けて金融市場の安定確保に万全を期すため、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
2.長期国債買入の増額、資金供給を円滑に行うため、長期国債の買い入れを、これまでの月8千億円(年9.6兆円)ペースから、月1兆円(年12兆円)ペースに増額する。
3.ロンバート型貸出における公定歩合適用期間の拡大、3月1日~4月15日までの間、すべて公定歩合による利用を可能とする。
4.適格担保拡大の検討、預金保険機構向け・地方交付税特別会計向け貸付債権の適格担保化の実務的検討を早急に進める。

2002年9月18日
「金融システムの安定に向けた日本銀行の新たな取り組みについて」を公表
1.金融機関による保有株式削減努力の促進策=日銀による銀行保有株の直接買取=の導入検討(10月11日に「株式買入等基本要領」を制定
2.不良債権問題についての基本的な考え方の整理・公表
(金融政策決定会合終了後、通常会合で決定)

2002年10月30日
1.金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高の目標値を、これまでの「10~15兆円程度」から、「15~20兆円程度」に引き上げる。
2.長期国債買入れの増額、これまで月1兆円ペースで行ってきた長期国債の買い入れを、月1兆2千億円ペースに増額する。
3.手形買入期間の延長、これまで「6か月以内」としてきた手形買入の期間を「1年以内」に延長する。

2002年12月17日
「企業金融円滑化策について」を公表
1.証書貸付債権の担保拡大、債務者種類および当初貸付期間毎に担保掛け目を細分化し、3年以内の証貸債権の担保掛け目を引き上げるとともに、5年超10年以内の証貸債権を、新たに適格担保化。
2.資産担保コマーシャル・ペーパー(ABCP)の適格基準の緩和、2004年度末までの時限措置として日銀取引先の保証するABCPを適格の扱いとする。
3.ストリップス債の適格担保化

2003年3月20日、福井俊彦氏日銀総裁に就任。

2003年3月25日
金融市場調節の変更
3月31日までは、日本銀行当座預金残高が15~20兆円程度となるよう金融市場調節を行う。4月1日以後は、日本郵政公社の発足に伴い、日本銀行当座預金残高が17~22兆円程度となるよう金融市場調節を行う。
2.なお、当面、国際政治情勢など不確実性の高い状況が続くとみられることを踏まえ、金融市場の安定確保に万全を期すため、必要に応じ、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
ロンバート型貸出における公定歩合適用期間の拡大、当分の間、すべての営業日を通じて公定歩合による利用を可能とする。 
金融機関保有株式の買入れ上限の引上げ、買入総額の上限を2兆円から3兆円、買入対象先毎の累計買入限度額5,000億円から7,500億円に。

2003年4月8日潤沢な資金供給が経済活動の拡大に効果的に結びついていくためには、金融緩和の波及メカニズムを強化するため、中堅・中小企業関連資産を主たる裏付資産とする資産担保証券を、時限的措置として金融調節上の買入れ対象資産とすることについて検討を進める。

2003年4月30日
1.金融市場調節方針の変更
日銀当座預金残高の目標値を、これまでの「17~22兆円程度」から「22~27兆円程度」に引き上げることを決定。
産業再生機構に対する証書貸付債権を新たに日本銀行の適格担保とする。

2003年5月20日
金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高が27~30兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

2003年6月11日
「資産担保証券の買入れとその考え方について」を公表、具体的スキームの骨子を取りまとめ、7月末までの実施に向けて所要の準備を進める。

2003年9月12日
1.「国債現先オペの期間延長の検討について」を公表。次回決定会合で報告するよう執行部に指示。
2.「シンジケートローン債権の担保受入について」を公表、実務面での検討を進めている執行部からの報告、

2003年10月10日
1.金融調節の柔軟性を高め、流動性供給面から機動的に対応する余地を広げる観点から、日本銀行当座預金残高の目標値の上限を引き上げ、これまでの「27~30兆円程度」から、「27~32兆円程度」とする。
2.金融調節を機動的に行う観点から、国債買現先オペの最長期間を現在の6か月から1年に延長する。
3.「金融政策の透明性強化について」を公表
(1)経済・物価情勢に関する日本銀行の判断についての説明の充実。「経済・物価の将来展望とリスク評価」(4月・10月に公表。以下「展望レポート」という)で示した標準的な見通しに比べ、上振れまたは下振れが生じていないか、3か月毎の(1月・7月の)決定会合で検討し、「金融経済月報」の「基本的見解」の中で公表する。
「金融経済月報」は、現在、決定会合の翌営業日に公表しているが、このうち「基本的見解」部分について、即日公表することとする。
総裁記者会見は、現在、月1回目の決定会合の翌々営業日に行っているが、月2回目の会合を含めてすべての決定会合後、当日中に行うこととする。
(2)量的緩和政策継続のコミットメントの明確化
金融政策面から日本経済の持続的な経済成長のための基盤を整備するため、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品。以下略)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、量的緩和政策を継続することを約束している。日本銀行としては、このコミットメントについては以下のように考えている。
第1に、直近公表の消費者物価指数の前年比上昇率が、単月でゼロ%以上となるだけでなく、基調的な動きとしてゼロ%以上であると判断できることが必要である(具体的には数か月均してみて確認する)。
第2に、消費者物価指数の前年比上昇率が、先行き再びマイナスとなると見込まれないことが必要である。この点は、「展望レポート」における記述や政策委員の見通し等により、明らかにしていくこととする。具体的には、政策委員の多くが、見通し期間において、消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%を超える見通しを有していることが必要である
。こうした条件は必要条件であって、これが満たされたとしても、経済・物価情勢によっては、量的緩和政策を継続することが適当であると判断する場合も考えられる。

2004年1月20日
金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高が30~35兆円程度となるよう金融市場調節を行う。 なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

2004年2月26日
「国債市場の流動性向上に向けた制度導入の検討」を公表、日銀保有国債を市場に供給しうる制度(いわゆる品貸し)の導入に関する実務的な検討を行い、準備が整い次第、決定会合に報告するよう執行部に指示。

2004年4月9日
「国債の補完供給制度の導入について」を公表、いわゆる「品貸し」の導入を決定。

2005年5月20日
一時的な日銀当座預金残高目標割れの容認、いわゆる「なお書き」の変更、日本銀行当座預金残高が30~35兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。また、資金供給に対する金融機関の応札状況などから資金需要が極めて弱いと判断される場合には、上記目標を下回ることがありうるものとする。
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by nihonkokusai | 2005-10-21 14:10 | 日銀 | Comments(0)
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