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いろいろと興味深い8月のFOMC議事要旨

 8月30日に8月9日に開催されたFOMCの議事要旨(Minutes)が発表された。メディアによっては議事録としているところも多いが、会合の約3週間後に発表されるものは日銀が会合の約1か月後に発表する議事要旨に内容が近い。日銀は10年後に精細な内容が記された議事録を発表するが、米国も議事中のジョークまでも含めた議事録(Transcript)を5年後に公表しているため、ここでは日銀に合わせる格好で議事録ではなく議事要旨としたい。

 それはさておき、FRBは9日のFOMCにおいて、あらたな政策に乗り出した。つまり、現在の経済情勢が続く限りは、少なくとも2013年半ばまで、政策金利であるFF金利は異例な低水準が継続されるであろうことを保証するとしたのである。

 議事要旨によると、「a time horizon」つまり「時間軸」とのフレーズを使うにあたり、失業率や(日銀の時間軸政策のような)物価指標数値も考慮したことが伺える。しかし、他のメンバーからは具体的な数値目標設定には反対の声が上がったことで、この意見は排除されている。

 さらに一人のメンバーからは、特定の日付を使うことに対して、人々に無条件のコミットメントとして扱われるのではないかとの疑問も提示されている。ただし、最終的には多くのメンバーが、具体的な日付を明示することで、市場に有益なガイダンスを与えることになるとして採用されることになる。また、これには「Committee's flexibility」が取り省かれていないことも指摘しており、経済物価情勢次第では柔軟に金融政策を変更できることを示している。

 この決定については、フィッシャー、コチャラコタ、プロッサーの3人の地区連銀総裁が「at least through mid-2013」ではなくて、「for an extended period」で良いのではないかとして反対した。期間を明示してしまうと、それまではいかなる経済情勢となろうと委員会は超低金利政策を続けるとの誤解を招きかねないとの指摘もあった。

 この時間軸の明確化については、私個人の印象としては、緩和色を強めるために無理やり引っ張り出した感がある。だからこそ3名もの反対者が出たのではないかと思われる。

 議事要旨ではこのあらたな政策に対する議論の前に、追加緩和に関する議論もあった。市場ではむしろここを重視しているものと思われる。

 「Some participants」が追加の資産購入は長期金利の低下を促し、緩和効果を高めるであろうと発言している。そして、「Others」からの意見として、FRBのポートフォリオにおける資産の平均残存期間の長期化により、長期金利に同様な影響を与えるだろうとした。これはバランスシートの規模の拡大などにはつながらないとの補足もあった。さらに「A few participants」から超過準備の付利引き下げが示唆されている。

 これらに対して「some participants」からは、追加緩和について否定的な発言がなされていた。追加緩和による景気回復に対する効果は疑問であり、むしろインフレを押し上げてしまうリスクがあることを指摘している。

 ここで気になるのが、今回のメンバー10名がどのように区分けできるのかという点である。はっきりしているのは最後の「some participants」がたぶんフィッシャー、コチャラコタ、プロッサーの3人であろうということである。となれば残りは7人。最初の「Some participants」も「Others」、「A few participants」も複数となれば、どうやらそれぞれ最低2人ずつ、どれかは3人いる。もちろん重複している可能性もあるが。

 果たしてバーナンキ議長はどこに含まれるのであろうかにも関心があるが、どうも議長の意見がすんなり通るとの情勢でもなさそうで、この意見の集約にはやはり時間がかかると見るべきであろう。

 このため、「they agreed that the September meeting should be extended to two days in order to provide more time. 」と9月の会合を2日にすることに8月9日の時点で同意していたのである。

 しかし、これについては8月9日に表明せず、メンバーや関係者にはそれを伏せておくようにさせ、ワイオミング州ジャクソンホールで開催されたカンザスシティ連銀主催のシンポジウムまで大事に保管されていたことになる。

 8月にはすでに時間軸の明確化を打ち出していたので、追加緩和の期待を強めさせるFOMCの日程変更の発表はあとにずらして緩和効果を継続させることをはかったのであろうか。それとも市場でジャクソンホールへの期待感が高まるのを予想して、いわゆる隠し玉として保管していたのであろうか。

 結果的にジャクソンホールでは緩和への期待感を出すことには成功してはいるが、その追加緩和については、市場が期待しているQE3はまだ小数派でしかない。追加緩和策について委員間で大きく分かれるなどまとまりがない状態で、ある意味、手詰まり感も伺える。いったい9月のFOMCでは何が打ち出されるのか、いろいろな面で関心が高まりそうである。


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by nihonkokusai | 2011-09-01 08:44 | 日銀 | Comments(0)
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