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民主党代表選の結果に見る、財政再建路線を継続せざるを得ない日本

 本日29日に行なわれた民主党の代表選挙は、決選投票の結果、野田財務相が215票、海江田経済産業相が177票となり、野田財務相が民主党代表に選出された。新代表は明日30日に衆院本会議で第95代、62人目の首相に任命される。

 野田財務相は早くから代表選出馬の意向を示し、有力候補とみられていた。しかし、その代表選には野田氏を支援するとみられていた前原氏が出馬を表明し、小沢グループの支持を受けた海江田氏も立候補、さらに鹿野氏、馬渕氏も立候補したことで、むしろ野田氏は不利との見方が強まっていた。

 5人の候補者の中で野田氏は唯一の財政再建論者であった。債券市場参加者にとり、野田氏以外の候補者がもし代表に選出されると大きなリスク要因になるため、かなり神経質になっていた。前原氏は国債の日銀引き受けを論じるし、海江田氏も無利子国債発行を唱えるとともに日銀法改正などを検討していいのではと指摘していた。民主党内にはデフレ脱却議連なるものも存在するが、党内にいわゆるリフレ派といわれる人達も多い。また、小沢元代表も民主党のマニフェストを重視するなど、財政再建と距離を置いていた。

 このような状況下、野田氏までもが復興増税についてその時期を明確にせず、さらに円高とデフレ脱却について言及せざるを得ないような状況にあった。こうなると、むしろ日銀による国債引き受けを主張する人が首相になってもらい、それを実行することで日本国債への信任低下と、国債価格そのものの急落を招くことで、国民も目が覚めるのではないかと危険な発想をせざるを得なかった。しかし、さすがに民主党は最終的には財政再建路線を選択せざるを得ないことを理解していたものと、今回の結果を見てそう受け止めたい。

 とにかくも最初の投票で不利とみられた野田氏が100票以上獲得したことで、流れがほぼ決まった。野田陣営だけではとても届かない数であり、グループ以外からの票が数多く入っていたとみられる。小沢氏のグループは最大ではあるものの鳩山氏のグループとあわせても過半数には届かない。この結果、決戦投票が反小沢派と小沢派の対決となれば、反小沢派が数の上でも有利となることが予想されていたためである。

 英国もユーロ圏の国々も、さらに米国も財政再建路線を進めているにも関わらず、日本は財政再建の姿勢は示すが増税等はずっと手付かずとなっている。今回はその財政再建路線すら危ぶまれるリスクがあったが、それは回避されることになりそうである。むろん、今度の財務相人事も注目されるが、野田氏がその後任に選ぶのは財政再建派であろうと推測されることで、問題はないと思われる。

 何ゆえ日本も財政再建を進めねばならないのか。それはいままでの日本の歩みを見れば明らかである。ずっと付けで物を買っていながら、その付けを払おうとせず、さらに付け、つまり借金を増やして、デフレ脱却を進めるべきと考えている人達がいる。この人達は借金の重さが先行きを不安にしていることに気が付いていないのであろうか。金さえバラ撒けば景気が良くなるというのであるのならならば、政治家はいらない。日銀が国債を引受けたり、インフレターゲットを行なえば景気がよくなるというのも、政治家や学者にとりまったくの責任転嫁でしかない。日銀は決して打ちでの小槌などではない。物事はそんな単純なものでないことは、失われた20年の日本、そしてその日本化に陥りつつある米国などの動向を見ても明らかである。

 野田氏以外の候補であれば、そのことを身をもって知ることになったかもしれないが、野田氏の勝利で残念ながらそうはいかずに、日本国債への信任は引き続き維持されよう。ただし、本格的に民主党政権で財政再建を行なえるのかは正直に言えば疑問符である。ここは新首相による強力なリーダーシップを望みたいところでもある。


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by nihonkokusai | 2011-08-29 16:37 | 国債 | Comments(0)
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