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ムーディーズによる日本国債格付けの変遷

 知り合いのクレジットアナリストの方のレポートによると、日本国債に対する海外の格付会社による評価は、古くは1930年代に始まるとされるそうである。第二次世界大戦後においては、日本政府が1959年に発行した米ドル建て国債に、S&PがB1+格(現在とは、格付けのスケール・符号が異なる)及びフィッチがBBB格を付与したものが、確認される最初とされる。

 そして、S&Pの格付けがAAA格となったのは1975年2月であり、ムーディーズは1981年に日本政府の格付けをAaa格とした。

 その後、長らく日本国債は最上級の格付けいわゆるAaa(トリプルA)を保持してきたわけであるが、1998年11月17日にムーディーズは、日本政府が発行もしくは保証する円建て債券の格付け、及び日本国の外貨建て債務及び預貯金に対するカントリーシーリングを、それぞれAaaからAa1に引き下げた。格付け見通しは引き続きネガティブとした。この格下げの大きな理由が公的部門の債務膨張であった。ちなみに日本の10年債利回りは0.9%近辺にあった。また、参考までに1998年度末の公債残高は295兆円であった。

 これ以降、主にムーディーズを中心に日本国債の格付けの変遷について見てゆきたい。まず、2000年9月8日にムーディーズは、円建て国債の格付けをAa1からAa2に引き下げた。GDP比でみた債務残高が高水準であることを背景としている。10年債利回りは1.8%台、2000年度末の公債残高は368兆円であった。

 2001年12月4日にムーディーズは、日本政府が発行もしくは保証する国内債券の格付けをAa2からAa3に引き下げた。見通しはネガティブに据え置かれた。このときの10年債利回りは1.4%近辺、2001年度末の公債残高は392兆円であった。

 2002年5月31日にムーディーズは日本政府が発行もしくは保証する国内債券の格付けをAa3からA2に2段階引き下げた。見通しは安定的に変更された。これによりイスラエルやボツワナと同じ格付けとなったことが話題となった。このときの10年債利回りは1.4%近辺、2002年度末の公債残高は421兆円であった。ムーディーズの格下げの前に4月にS&Pが日本国債の格付けをAAからAA-に格下げしていたが、財務省は5月に欧米の格付け会社3社に対して、日本国債の格付けに関する意見書を送付している。

 2007年の4月にS&Pが日本の長期ソブリン格付けと長期優先債券格付けをAA-からAAへ1ノッチ引き上げたことに続き、10月11日にはムーディーズが、日本政府の円建て国内債券の格付けをA2からA1に引き上げた。この理由としては、福田新政権下で財政方針が継続されるとの期待を反映したものと説明された。このときの10年債利回りは1.7%台、2007年度末の公債残高は541兆円であった。

 そして、2008年6月30日にムーディーズは日本政府の円建て国内債券の格付をA1からAa3に引き上げた。格上げの理由としてムーディーズは、継続的な財政引き締めや再建への取り組みへの期待をあげていた。このときの10年債利回りは1.6%近辺、そして2008年度末の公債残高は546兆円であった。

 2009年5月18日にムーディーズは日本政府の自国通貨建て債務格付けをAa3から引き上げる一方、外貨建て債務格付けをAaaから引き下げ、両者をAa2に統一すると発表した。政府債務格付けの見通しは安定的とした。この自国通貨建て債務格付けの格上げ理由についてムーディーズは、家計の貯蓄率が高く、国債の買い手が多いこと。金融危機による金融機関の損失が欧米に比べ小さく、財政への影響が限られること。2007年から08年の大量償還を順調に乗り越えるなど、国債管理政策が適正に実行されていることなどを挙げていた。このときの10年債利回りは1.4%近辺、そして2009年度末の公債残高は594兆円であった。

 そして、2011年8月24日にムーディーズは、日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に一段階引き下げ、見通しは安定的に変更したのである。このときの10年債利回りは1.0%近辺、そして2011年度末の公債残高(見込み)は668兆円である。


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by nihonkokusai | 2011-08-26 08:21 | 国債 | Comments(0)
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