独英米の長期金利は過去最低水準に低下
不安心理がいろいろなきっかけに高まったことで、リスク回避の動きが強まったことによるものと思われる。独英米の長期金利は低下基調が続いており、何かのきっかけでその動きが加速されやすい状況となっている。ちなみに、イタリアやスペインの10年債利回りも、5%近辺で落ち着いていたことで、欧州諸国の債務不安が新たに再燃したような動きでもなかった。もちろん、イタリアやスペインの国債はECBが購入していることで、買い支えられている面もある。
16日にドイツとフランスのトップがパリで首脳会談を開いたが、一部期待されていたユーロ共同債の導入や4400億ユーロ規模の救済基金の拡大は否定され、欧州全域での金融取引税導入を再提案することが明らかにされた。定期的に協議する新たな枠組みを設け、財政規律の厳格化を一段と推し進めていくことで一致したものの、この首脳会談で具体的な措置が打ち出されなかった。
このように政府が欧州の債務不安や景気対策に対して積極的に乗り出せないことも、市場は不安視している部分もある。米国債が格下げされたことで、米国はさらに財政健全化を意識せざるを得ない面もあり、それによる景気への影響も危惧されている。
英国債、ドイツ連邦債、そして米国債の10年債利回りは記録的な水準に低下したにも関わらず、日本の長期金利は1%は割り込むものの、その低下のピッチは鈍い。2006年3月につけた0.43%という最低水準まで低下するような気配はいまのところない。
日本の長期金利の推移を見てみると、1990年に8%台にあったものが、その後、ほぼ一本調子で低下し、1998年に1%を割り込んだ。その後は1%台を中心にした推移が続いている。それに対して、英独米の長期金利は1990年から1998年にかけての日本の長期金利のように低下の途中であるとも言えそうである。
ただし、2%というのは日本の長期金利も節目とされている水準であることから、日本の過去の長期金利の推移を見る限り、2%水準からの低下ピッチは鈍るのではないかと思われる。
いずれ英独米の長期金利は日本の長期金利のように1%台を中心に安定してくる可能性がある。いろいろなところで日本化が指摘されているが、どうやら長期金利についても、今後は日本化が進む可能性がありそうである。
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