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国内格付会社による日本国債格下げの可能性

 米国の大手民間の格付会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、8月6日に米国の長期格付けを最上位のAAAからAA+に1段階引き下げた。これに対しフィッチ・レーティングスは米国の長期信用格付けはAAAを維持し、アウトルック(見通し)を安定的とし、ムーディーズ・インベスターズ・サービスも米国格付けは最上位に据え置くと発表していたことで、今回はS&Pだけが格下げに動いた格好となった。

 S&Pの格下げによる米国債への影響は限られ、むしろ米国債は質への逃避の動きから買い進まれた。これは、民間格付会社が格付けを1ノッチ引き下げたからといって、投資家が保有する大量の米国債をいきなり売却することは考えづらく、金融市場における信用度、そして流動性などを見ても、ほかに代替資産が見当たらないためである。

 ただし、米国の格付会社が自国の国債の格付けを引き下げということは、ある意味、ショッキングな出来事でもあり、マスコミでも大きく取り上げられた。

 そして、今度は日本国内の大手格付会社が日本国債の格付けを引き下げる可能性が出てきた。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、格付投資情報センター(R&I)のアナリストは、来年度の予算に想定以上の緊縮財政措置が盛り込まれない限り、年内にも日本国債の格付けを引き下げる可能性が高いと警告した。

 日本国内の代表的な格付け会社に格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)がある。このうちR&Iは2001年3月から日本国債格付けの見通しをネガティブとしていたが、格下げそのものは見送ってきていた。

 ムーディーズやS&Pが日本国債の格下げを行なっても、ほとんど市場が動揺しなかったのは、国内格付会社が格下げをしてこなかったこともひとつの要因である。このため、もしR&Iが日本国債の格下げを行なうとすれば、国債を保有する投資家に動揺が走る可能性はある。

 ただし、米国債と同様にほかに代替資産がないことで、国内投資家が国内格付会社による日本国債の格下げで、保有する国債を売却することは考えづらく、ショックがあったとしても一時的なものにとどまるものと思われる。

 R&Iは今年初め、日本国債格付けに下押し圧力が強まっているとしていたが、3月に発生した東日本大震災後、国会が日本の財政問題に取り組むために団結するのではないかとの期待から格下げは見送られた。しかし、この数カ月にみられた政治の駆け引きとともに、真剣に債務問題に取り組もうとする政治家の意思の欠如が、格下げの可能性を高めさせたようである。

 このR&Iの見方には同意するものの、格下げをする理由としては、日本の債務が増加し続けていたにもかかわらず、長らく格下げを見送っていたことからみて、いささか薄いような気もする。ただし、新しい首相が反増税派となり財政再建路線から後退し、日銀による国債引き受けの可能性が少しでも高まるような事態となれば、国内格付会社による日本国債の格下げがあったとしてもおかしくはない。

 格付会社によるソブリン格付けはあくまで国債投資のためのリスクを計るひとつの物差しでしかなく、絶対的なものではない。しかし、それが意味することを政治家はある程度意識することも必要であろう。


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by nihonkokusai | 2011-08-18 07:49 | 国債 | Comments(0)
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