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金融緩和や為替介入にはサプライズも必要に

 日本時間で3日の夕方に、スイスの中央銀行であるスイス国立銀行は突然、声明を発表し、政策金利である3か月物LIBORの目標レンジを0.00-0.75%から、0.00-0.25%に引き下げ、さらに準備預金残高をこれまでの300億スイスフランから800億スイスフランに引き上げるとした。この日は金融政策を決定するための会合の予定はなく臨時会合で決定されたと思われるが、これはサプライズとなり、この発表を受けて、外為市場ではスイスフランがドルなどに対して下落した。  

 スイスフランの上昇に対して、スイスの中央銀行であるスイス国立銀行は昨年、大規模なスイスフラン売りユーロ買いの為替介入を実施したものの歯止めがかからず外貨資産で2600億スイスフランの損失を出していた。このため、今回のスイスフラン高に対しては、介入再開ではなく、まずは機動的でサプライズとなった金融緩和策でまず対応してきたものと思われる。このように市場にとって良いニュースとなるものはサプライズとなればその効果は大きくなる。

 先週はじめに円高を是正するために政府・日銀は緊急策の検討に入り、政府は介入を準備、日銀は今週開かれる決定会合で追加緩和を検討すると伝えられた。米債務問題を巡って日米欧での電話による協議の中で、為替の動きに極めて強い懸念を表明し、日本側から必要に応じて円売り介入を断行する意思を伝えられ、それに対し米当局は了承したとも伝えられた。

 しかし、このようなことを事前に漏らしてしまうと、市場は心の準備をしてしまうことで、実際の効果はかなり薄れてしまう。金融市場は市場参加者のマインドによって動いているということを認識すべきである。これはスイス国立銀行の昨年の為替介入を見てもしかるべきである。それでも何らかの手段で、円高などの動きを抑えようとするのならば、マーケットの心理状態を読みながら行なう必要がある。

 実際に4日に政府・日銀は円買いドル売りの為替介入を行なった。結果として77円近辺から80円近辺までドルは戻したが、マーケットにサプライズを与えてドルが買われたというよりも、4.5兆円以上もの資金を使って力ずくで持ち上げたような格好となった。

 また、日銀は、4日の午後から予定していた金融政策決定会合を午前11時15から前倒しで開催し、それも1日だけに短縮し、今日中に一段の金融緩和を決める見通しとも伝えられた。日銀は今年3月14、15日の会合も、震災を受けて1日短縮し14日の金融政策決定会合で追加緩和策を決定している

 日銀の追加緩和策は、資産買入等の基金を40兆円から50兆円と10兆円追加した。このうち資産の買入れを10兆円から15兆円に、固定金利オペを5兆円から10兆円に拡大した。資産の買入れについては、長期国債を2兆円、国庫短期証券を1.5兆円、CP等を0.1兆円、社債等を0.9兆円、ETFを0.5兆円、REITを0.01兆円増額する。固定金利オペについては6か月物を5兆円増額する。

 決定会合を1日に縮小するなどサプライズな面はあったものの、追加緩和の内容はすでに報じられていたものにとどまり、10年債利回りは一時1%割れまで低下する場面はあったものの、結局、前日の引け値よりも下落するなど、追加緩和による市場へのインパクトは一時的なものとなった。

 政府や中央銀行による市場対策としてまず念頭に置く必要があるのは、マーケットが懸念しているようなものに対しては事前に織り込ませることが重要となり、マーケットが期待していることについてはサプライズ効果が重要となるということである。

 金融緩和や為替介入については、その効果を高めるには3日のスイス国立銀行の金融緩和のように、前触れもなく突然発表されるほうが市場への影響は大きい。日銀は動くと事前認識されてしまえば、市場は身構えてしまうことも確かである。

 これに対して市場に対する悪い材料は、サプライズとなることは極力避けて、なるべく早く知らしめ、市場に浸透させる必要がある。それに対してどうすればよいのか、むしろ市場参加者に投げかけるなどして、当局と市場参加者が問題を共有し、対策を練るなどすれば、市場への悪影響は限定的となる。これはたとえば国債の増発について突然発表するようなことはなく、国債市場特別参加者会合などで意見交換をして、その結果、市場に浸透させていることなどもひとつの良い事例となろう。

 市場は悪いサプライズなことには極端に大きく反応する。ギリシャ・ショックもその例となろう。日本でも悪い材料に反応した事例のひとつとして、1998年の運用部ショックがある。こういった悪い材料に対するサプライズは、やり方次第では防げるものもあるため、極力避けるする努力が必要である。ただし、市場が望むようなことについてはサプライズも意識して行なうほうがある意味効率的でもある。


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by nihonkokusai | 2011-08-08 10:39 | 日銀 | Comments(0)
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