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米債務問題後の懸念材料

 オバマ米大統領はホワイトハウスで会見し、米債務上限引き上げの協議で民主・共和両党指導部が合意したと発表した。その合意案とは、債務上限を少なくとも2.1兆ドル引き上げ、歳出を2.4兆ドル以上削減するというものである。

 米財務省は8月2日までに債務上限を引き上げなければ以降の借り入れは不可能としていたが、この合意により米国債のデフォルト、さらに政府の窓口封鎖といった可能性は後退した。ただし、歳出削減幅が少ないとして格付会社が米国債を格下げする懸念はまだ残るようである。

 これにより大きな不透明材料が後退するわけであるが、今後は米債務上限引き上げ問題により覆われていた別の懸念材料がクローズアップされてくる可能性がある。そのひとつは米国の景気動向である。

 米商務省が29日に発表した第2四半期(4-6月期)のGDP速報値は年率換算で前期比プラス1.3%となり事前の予想を下回った。さらに、第1四半期(1-3月期)のGDP改定値も速報値のプラス1.9%からプラス0.4%に大幅下方修正された。また、1日に発表された7月のIMS製造業景況指数も50.9と前月の55.3から低下し予想も下回った。

 GDPは過去の数字ではあるが、米国の景気回復がかなり鈍化していることをこのGDPが裏付けた格好となった。特に個人消費が低迷しており、これには高い失業率なども影響しているとみられる。その意味では今週5日に発表される雇用統計に注目が集まろう。

 そして欧州の債務問題も再び浮上してくる可能性がある。28日に実施されたイタリアの10年債入札は、落札利回りが5.77%と事前予想を上回るなど低調な結果となり、さらに29日に格付会社ムーディーズはスペインの格付けについて、引き下げ方向で見直しすると発表した。これらを受け週末に向けてユーロ圏の債券市場ではイタリアやスペインの国債が売られた。ギリシャなどと異なり、経済規模も大きなイタリアやスペインへの債務懸念が今後さらに強まると、欧州の債務問題があらたな段階に移行する可能性もある。

 今後の日本の債券相場動向を見る上では、このように米国の景気動向や欧州の債務問題の行方に注目が集まりそうであるが、国内での赤字国債発行法案の行方や景気動向にもあらためて注意する必要がある。

 赤字国債発行法案については子ども手当の見直しが焦点となっているが、自民党は子ども手当以外にも標準を置くなどさらに強硬姿勢を強めている。こちらは米国の債務上限引き上げ問題問題ほどは緊迫化してはいないものの、すでに今年度入りして4か月が経過しており、まだ多少の時間的猶予はあれど、早期に成立させて政府の資金繰りを円滑化させる必要があろう。

 赤字国債発行法案が成立しない限りは、どうやら菅総理は退陣する意思はないとみられる。日経等の世論調査で内閣支持率は19%に低下し、すでにレイムダック化している現政権が継続すればするほど政府への信頼度は薄れ、震災復興や原発問題などを抱えた重要な時期に政府がまともに機能せず、これが日本の経済にも深刻な影響を与える可能性もある。

 このように米債務問題後の懸念材料をピックアップすると、日本の債券市場にはフォローとなるものが多い。ただし、それには日本の国債への信任が続くことが前提となる。菅首相にはなるべく早く退陣してもらいたいところではあるが、仮に日銀による日本国債の引き受け等を主張しているような人が後任となるようなことになれば、日本国債の信任に傷がつきかねず、それにより今度は日本の債務問題が世界の金融市場を揺るがしかねない事態となる可能性も否定はできない。


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by nihonkokusai | 2011-08-02 08:21 | 国債 | Comments(0)
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