牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

2001年3月に量的緩和策を決めた議事録より

 日銀は本日、2001年1月~6月に開催された金融政策決定会合議事録等を公開した。2001年3月19日の日銀金融政策決定会合で、日銀は量的緩和政策を決定した。この日、どのような議論が実際に交わされていたのか、たいへん興味深い。さっそく、この日の議事録の内容を確認してみた。

 量的緩和策とは直接関係はないが、この日の出席者を見ると、政府からの出席者にのちの日銀副総裁となる岩田一政氏が内閣府から出席しており、また現日銀総裁の白川氏は日銀執行部の中で企画室審議役として名を連ねている。

 当時は米国のITバブル崩壊が意識され、議事録でもイリュージョンという言葉が出てきている。さらにデフレスパイラルという言葉も出てくる。

 そして当面の金融政策運営方針のところでは、いきなり最初の発言者である藤原副総裁から量的緩和策への提案がなされている。従来の伝統的な政策手段に限りがあの中では、一定の歯止めをかけたいわば未知の領域に足を踏み入れることも止むを得ないとして、金利水準の引き下げとともに、量をターゲットにする政策を提案している。さらに時間軸政策の導入、長期国債買い切りの増額、その際に日銀の長期国債保有額の上限を銀行券残高とするという日銀券ルールについても指摘していた。これらは藤原副総裁の私案ではなく、ある程度、事前に練り込まれていた案であったと思われる。

 時間軸や長期国債買い切り増額については前回の会合で篠塚委員が提案していたが、その篠塚委員は、時間軸政策についてこの提案はインフレーション・ターゲッティングとは一線を画していると述べている。

 そして最後となった山口副総裁は、リザーブ・ターゲッティング的な枠組みに転換するのかどうかの問題について、少し抵抗を持っており、我々が主張してきた政策の発想とは、少なくとも私の頭の中では相容れない部分があるとして、言葉は控えめであるが実際にはかなり反対していた節が伺える発言となっている。

 山口副総裁は、銀行システムにリザーブを追加的に供給し続けていくことにどれ位実質的な意味があるのか、リザーブ・ターゲッティングに転換することによって追加的な緩和余地が大いに生まれてくるような、ある種のイリュージョンを与えることになりかねないと思うと述べている。期待という部分については認めていても、山口副総裁は余り積極的になれない方式であると指摘している。

 これは私自身も量的緩和策導入時に同様の感想を持っていた。しかし、日銀は量的緩和政策導入後、積極的にイリュージョンに働きかけることとなり、どれほどの実質的な効果があったかはさておいて、特に市場の期待に働きかけるため、リザーブ・ターゲトを数度にわたり引きあけて行くことになるのである。

 そして、最後に議長である速水総裁が、「私は今回日銀当座預金残高という量のコントロールを通じて。自然に市場金利の低下を実現するという新しい方法を採ってみたいと思う」と発言し、量的緩和策の導入が決定されるわけであるが、そこに行き着くまでにはもう少し議論が行なわれているが、それについては次回、検証してみたい。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

「牛さん熊さんの本日の債券」をメルマガで配信しております。
登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。
価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001185491.html
[PR]
by nihonkokusai | 2011-08-01 08:39 | 日銀 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー