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震災復興に関わる増税の必要性

 26日の閣議後の記者会見で、玄葉光一郎国家戦略担当相は、今後3年間の国の歳出・歳入の大枠を示す「中期財政フレーム」について、東日本大震災の復興対策に必要な歳出・歳入を「別枠化」した上で、数値目標を維持する考えを示した。

 昨年6月にまとめた2011~2013年度の中期財政フレームでは、「歳出の大枠71兆円以下、新規国債発行額44兆円以下」との枠組みを打ち出しており、2011年度の当初予算はこの枠内で編成された。震災復興に必要な歳出・歳入を別枠化することにより、来年度についてもこの数値目標を維持するようである。

 玄葉担当相は、復興経費については別途財源を確保し、多年度で収入と支出を完結させる仕組みを作り上げると説明した。

 歳出の大枠71兆円以下、新規国債発行額44兆円以下という数字そのものもかなり大きなものであるが、歳出や国債発行額を拡大させない姿勢がまず重要であろう。

 政府は東日本大震災からの復興に向け、今後5年間で総額19兆円の規模で復興対策を行うようである。政府はすでに財源が決まっている補正予算分を除いた13兆円のうち、3兆円程度を歳出削減などによって確保し、残りの10兆円余りについては復興債と呼ばれる赤字国債で調達するとしている。

 復興債の発行額は10.5兆円程度となるようで、このための償還財源として、臨時増税が10.3兆円程度、税外収入が0.2兆円程度としている。さらに今年度の基礎年金の国庫負担分(約2.5兆円)を臨時増税で補てんする場合は復興債・臨時増税の規模に2.5兆円が加算されることになる。また、これとは別にB型肝炎訴訟の和解金1.1兆円に充てる資金も必要となる。

 この臨時増税については、所得税、法人税を念頭に現行税額に一定割合を上乗せするという定率増税を実施するとしている。消費税については社会保障費の充当のための引き上げも予想されており、今後は基幹3税すべて増税される可能性が出てきた。

 ただし、法人税が引き上げられると、それでなくても電力不足や電力料金の引き上げにより産業の空洞化が懸念されている中、その動きを加速しかねない。

 景気に対してマイナス要因ともなりうる増税については民主党内でも反対の声が強い。ただし、それで復興債を日銀に引受けさせろとの議論はあまりにリスクが高い上に、日銀に引受けさせようが市中消化させようが、その償還財源は必要になるはずである。

 震災復興に関わる経費は当然ながら必要となり、その借金をどのように返済していくのか筋道を立てることは重要である。ある程度の増税については避けられないものの、それとともに産業の空洞化などにも配慮する必要もあろう。

 今後の政府債務全体のことを考えれば、先送りし続けた消費税増税も早期に実施する必要があろう。もちろん歳出削減努力も必要となる。

 欧米で財政問題が深刻化しているが、日本はそれ以上に債務悪化を深刻に受け止める必要がある。国債が安定消化されているために危機感は薄いようにも感じるが、いったん危機が認識されて国債価格に影響が及ぶと取り返しがつかなくなる。そのあたりのリスクを考えれば、国債の信用を今後も維持させるためにも、この増税については受け入れざるを得ないと思われる。


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by nihonkokusai | 2011-07-28 10:00 | 国債 | Comments(0)
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