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ラインハートとロゴフの警告

 「国家は破綻する-金融危機の800年-」(日経BP社)の共同執筆者、カーメン・ラインハート氏とハーバード大学のケネス・ロゴフ教授はブルーム・バーグのコラムにおいて次のようにコメントしたそうである。

 「現在の低い借り入れコストに安心するのは愚かであり、債務をさらに膨らませても全く問題ないとのシグナルだと解釈するのはもっと愚かなことだ」

 「市場金利は天気のように移ろいやすい。それとは対照的に債務水準はすぐに低下しないものだ」

 これは特に日本のことを示しているわけではなく、米国なども念頭においたコメントとみられる。

 欧州の債務危機により、安全資産として米国債やドイツ連邦債、さらに日本国債が買われ、その結果、それぞれの国の金利は低下している。金利が低下しているということは、国は低い金利で借入が可能となることになる。

 通常ならば借入は低金利の際に行うべきものであるが、だからといって積極的な財政政策に打って出るという主張はリスクを伴う。特に日本のように債務残高が年々膨れ上がっている国にとり、低金利だからこそ利払い費用が抑えられ、その分、財政悪化が抑えられている面がある。むしろ低金利のうちに債務残高を少しでも軽減し、いずれ来るであろう金利上昇に備えておく必要がある。

 800年という金融の歴史をあらためてデータで追って、これだけの大著をまとめた2人が、このような警告を発するのは、歴史は繰り返されていることを確認したからであろう。「国家は破綻する-金融危機の800年-」の原題は、「THIS TIME IS DIFFERENT」である。このタイトルは逆説的なものであり、内容は今回は違う、なんていうことはないことをデータを元に示したものである。

 今回の東日本大震災についても、過去、同じように大津波が発生し多くの犠牲者が出ていたことは歴史が示していた。「THIS TIME IS DIFFERENT」という災害ではなかったのである。ただし、その過去は検証はされていても、それがこのタイミングが起きることは予想されず、大きな被害をもたらすことになった。

 現在の日本はデフレの状態にある。しかも、失われた10年が20年になるなど長期に渡り、その状態が続いた結果、物価が上昇するような事態は想像するのが難しくなる。どうしても現状がまだまだ続くと見てしまいがちであるが、むしろこの状態が未来永劫続くと考えることの方が間違いである。

 たとえば1990年以前に、日本がこのようなデフレに陥ると誰が想像したであろう。もしそんな仮説を唱えていれば、物事が良くわかっていない人と捉えられてしまったのではなかろうか。つまり、この先、想像できないような状況、たとえば物価で見ればインフレとなる可能性がないとは言えない。現在は大きなうねりの中で、物価の波が低いところに留まって、いずれ上昇を待っているような状況にあるとも言える。

 市場金利は天気のように移ろいやすいことは、ギリシャなどの金利を見れば明らかである。それとは対照的に債務水準はすぐに低下しないため、ギリシャなどはかなり難しい状況に置かれているのである。

 日本でも、金利が上昇するようなことになれば、あまりにその債務が大きいために、さらに財政を悪化させ、大変困難な状況に置かれる。しかし、金利は上昇しないことを前提に物事を想定するのはたいへん危険であるため、金利が上昇したときの対応を常に考えておく必要がある。

 いずれ日本の金融を揺るがすような金利上昇、つまり国債価格の下落が何かのきっかけで起こる可能性がある。その際に被害を最小に食い止めるにはどうすべきであるのか。国家を揺るがす大きなリスクとして、それに備える準備も進めておく必要がある。

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by nihonkokusai | 2011-07-20 08:14 | 国債 | Comments(1)
Commented by φ at 2013-04-23 10:25 x
「国家は破綻する」著者ロゴフ氏らの公的債務研究に誤りの可能性=米研究者ら

 [ニューヨーク 16日 ロイター] 米マサチューセッツ大学アマースト校の研究者らは16日、ハーバード大学の経済学者であるカーメン・ラインハート氏とケネス・ロゴフ氏が2010年に初めて発表した公的債務に関する研究について、集計表におけるコーディングの誤りなどがあった可能性があるとの研究結果を発表した。(ry



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