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欧州委員会のバローゾ委員長による格付会社批判

 5日に格付会社ムーディーズは、ポルトガル国債の格付けをBaa1から投機的等級のBa2に4段階引き下げたが、欧州委員会のバローゾ委員長は信用不安を煽る恐れもあるとして、格付会社の対応を強く批判した。

 バローゾ委員長は「ある格付け会社による決定は、何かをより明確にするものではなく、むしろ現況に新たな投機的な要素を加えるものでしかなかった」とし、ムーディーズによる格下げは金融市場における投機的な動きを助長させているとの見方を示したのである。

 バローゾ氏は現在、ヨーロッパ連合の執行機関であるヨーロッパ委員会の委員長であるが、2002年4月6日から2004年6月29日までポルトガル首相を務めていた。ヨーロッパ委員会が個々の格付け会社の対応を批判するのは異例とされるが、自国の格下げに対するものであったこともあり、強い批判につながった可能性もある。

 バローゾ委員長はまた、「欧州からの格付け会社が1つもないのは奇妙なことだ。これは、欧州のある特定の問題に対する評価に関して、市場である一定の偏見がある可能性を示している」と述べ、欧州各国が主に米国に本拠を置く格付け会社への依存からの脱却を検討しており欧州の格付け機関設立も示唆している。さらに法的な手段を通した是正の可能性も探っていることを明らかにした。

 さらに欧州中央銀行のトリシェ総裁は7日の理事会後の会見において、「国際金融のレベルでの小さなグループ、小さな寡占的体制は恐らく望ましくない」とした、格付会社の機能は最適ではないとも語っている。

 日本国債がムーディーズやS&Pの格下げで動揺を示さなかったひとつの要因として、国内では格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)など国内の格付会社が日本国債に対して格付を変更してこなかったことも影響している。

 このため、一部の格付会社による小さな寡占的体制を打破するため、欧州の格付け機関設立もそのひとつの手段ともなろう。国債に対する格付けそのものは1920年代にはじまったとされ、実は歴史が古いものである。しかし、過去の歴史を見ても国債がデフォルトとなった事例は多くない。しかも1960年代以降、国債のデフォルトはアルゼンチンやロシア等発展途上の国家ばかりあり、先進国での例はない。

 今回のギリシャの事例についても過去に例のないものであり、それについて一部の格付け会社だけの見方だけを取り上げてよいものであろうか。日本国債の例を見ても、それが適切であったかどうか疑問も残るところだけに、格付け会社による格付けの取り扱いは慎重にすべきものであろう。

 バローゾ委員長は自国の格付けが下げられただけに、余計に格付け会社に対する強い批判となってしまった側面はあろう。しかし、格付けそのものに対する市場の過剰な反応をある程度押さえ込むために、なんらかの手段を講じる必要はあると考える。


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by nihonkokusai | 2011-07-09 08:57 | 国債 | Comments(0)
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