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個人向け国債の販売額が大幅に増加した要因とは

 6日に財務省は6月に募集した個人向け国債の応募額を発表した。これによると個人向け利付国庫債券(変動10年:第35回)は2319億円、個人向け利付国庫債券(固定5年:第23回)は1688億円、個人向け利付国庫債券(固定3年:第13回)は501億円となった。

 変動10年タイプの応募額は前回の126億円から大幅に増加し、2007年7月の3713億円以来の水準となった。また、全体でも前回の3月募集の2399億円から4508億円に増加した。これは2009年7月の4873億円以来の多さとなる。

 今回、なぜこのように急激に10年変動タイプの個人向け国債が売れたのかといえば、今回から10年変動タイプの適用利率の算式が、これまでの「基準金利-0.80%」から、「基準金利×0.66」に変更されたことが最大の要因であろう。

 今回の個人向け国債の適用利率は、変動10年第35回債の初回の利子の適用利率が年率0.77%(税引後0.616%)となった。基準金利は6月1日の10年国債の入札結果から算出された金利1.17%であり、これまでの利率の方式ならば0.37%であったので、それに比べてかなり有利となった。

 また、固定5年第23回債の利率は年率0.41%(税引後0.328%)、固定3年第13回債年率0.20%(税引後0.160%)であり、10年変動の有利性が目立つ格好となった。

 さらに今回から個人向け国債の広告がリニューアルされ、ツイッターでもコクサイ先生のつぶやきが開始されるなどしたことも販売増に影響した可能性がある。ボーナス時期と重なったことも要因であろう。

 とは言うものの、今回の個人向け国債の販売額の増加の主因は、10年変動タイプの利率設定の変更によるところが大きいことは間違いない。過去の個人向け国債の売り行き状況を見ても、初期利子や利率が高くなっているときに販売額が増加しており、今回の販売額の増加についても、個人による国債投資は利率がポイントとなっていることを裏付ける格好となった。

 個人向け国債は、10年変動タイプが良いのか5年固定タイプが良いのかについて、昔、NHKのテレビ番組で解説させていただいたことがある。その際には利率の設定のわかりやすさなどから5年固定タイプに軍配が上がった。しかし、今回の販売状況を見ると、個人は利率の設定がわかりにくい変動タイプだから敬遠していたとも言えず、やはり利率、初期利子の高さの違いが単純に販売額に結びついていた可能性がある。

 ここにきて販売が低迷していた個人向け国債であるが、今回の販売額の回復が今後も継続していくのかも注目したい。2011年は5年固定タイプの償還が始まり、約4兆円規模とみられる資金の行き先が注目されている。個人向け国債を購入する資金は安全性が配慮されるが、利率の低い個人向け国債ではなく、とりあえず預貯金に向かうであろうとみられた。しかし、今回の販売額の回復を見る限り、ある程度、個人向け国債のまま滞留する可能性がある。

 今年度の国債発行計画によると、個人向け国債の販売額として2兆円とある。すでに4月から7月にかけての4か月間で個人向け国債は8545億円の販売額となっており、このままのペースで行けば予定販売額を上回る可能性がある。そうなると第3次補正予算による国債増発による市中消化額を多少なり緩和させる可能性もある。今後の個人向け国債の販売状況についても注意して見ておく必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2011-07-08 08:46 | 国債 | Comments(0)
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