牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

国家は破綻する

 ギリシャの債務問題の深刻化などを受けて、ソブリン・リスクに対する関心は高まっており、それに関する本も何冊も出版されている。もちろん巨額債務を抱えた日本の債務リスクに対する関心もそれなりに高いとみられ、それに関する本も出ている。

 その中でも、ソブリン・リスクに少しでも関心がある方にお薦めしたいのが、日経BP社から出ている「国家は破綻する」である。原題は「This Time Is Different」であり、「今回は違う」という言葉は適切ではないことを、過去800年に及ぶ膨大なデータを元に検証したものである。その結論のひとつは、この本の帯にある「債務が膨れ上がった国は、悲劇に向かっている」というものである。

 この本の中では、特に公的国内債務に関する研究に注目したい。国内債務そのものの歴史が無視されてきたため、当然ながらその不履行も研究対象とされていなかったとこの本では指摘している。我が国は対外債務は少ないものの国内債務は膨大なものとなっているが、国内債務であるためデフォルトは起きることはないとの主張が決して的確ではないことをこの本は実証している。

 また、この本が書かれたのはギリシャ・ショック以前であったが、まさにギリシャ・ショックのようなことが起きるであろうことを予測したものとも言える。いずれ欧州の債務危機もおおきな実証研究として組み入れられることであろう。

 さらに国内債務の巨額な国がどのような破綻事例となるのか、日本の情勢についても筆者の一人であるロゴフ教授はその行く末を注意深く見ているのではなかろうか。

 現在の日本の債務状態は異常であることは間違いない。しかし、「日本は違う」との認識の元、財政再建に向けての消費税増税の動きについて常にブレーキを踏み続け、その結果、先送りの状況が続いている。今回の社会保障と税の一体改革に向けての動きも同様である。6月30日に決定された社会保障と税の一体改革も消費税の引き上げ時期は明記されず、それよりも閣議決定もできないような状況にあるなど、今後の財政再建に向けた動きは不透明である

 日本が財政破綻すると決め付けることはおかしいとの見方もある。現在、日本の国債は問題なく消化されている。過去のデフォルトの事例は現在の日本には当てはまらない。しかし、「今回は違う」との主張に、何らその裏付けとなるものは存在しない。日本もこのまま行けばかならず行き詰まるであろうことは確かである。

 「国家は破綻する」は大作である。実際に手にとって持つとずっしり重い。カバンに持ち込んで電車の中で読むのも難しいし、寝転んで読むと手がその重さに耐えられなくなる。これはある意味、日本の債務の大きさそのものを本の重量で表しているかのようである。この本は机の上で読むことをお勧めする。じっくりと過去の金融と国家に関する歴史を机の上で確認していただきたい。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

「牛さん熊さんの本日の債券」をメルマガで配信しております。
登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。
価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001185491.html
[PR]
by nihonkokusai | 2011-07-04 08:38 | 国債 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー