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そろそろ国内要因にも目を向けるべきでは

 日本の長期金利は、ギリシャの債務問題や米国の景気減速懸念を背景とした米国やドイツの長期金利の低下に合わせるように低下基調となっている。この傾向は4月上旬あたりから続いており、イギリスやスイス、カナダの長期金利なども同様に低下してきている。

 ただし、日本の長期金利は1.1%手前での滞空時間が長いなど、ほぼ一本調子で低下してきている米国やドイツなどとは長期金利のチャートの形状が異なっている。つまり日本では長期金利の低下に何かしら躊躇している様子にも見える。とは言うものの、債券相場の様子を見る限り、前日の米債やドイツ連邦債の動きに大きく影響されていることも確かである。だからこそ直近の高値圏での推移が続いている。

 しかし、そろそろ国内要因に目を向けておく必要もあるのではなかろうか。特に首相の居座りにより、社会保障と税の一体改革が頓挫している上に、第2次補正予算、公債特例法案の行方がまったくわからなくなっている点に注意すべきである。

 これらは第3次補正予算編成時期を遅らせることになるため、目先の国債増発が後退し増発観測のある超長期債などが買いやすくなるとの見方もある。しかし、いずれ復興債というかたちで増発されることは間違いはなく、むしろ後ずれすると一回あたりの発行量が増える懸念すらあるため警戒すべき問題でもあろう。

 さらに民主党で菅政権を支える6人衆が、菅首相は退陣すべきだと結束を固めているのに対し、首相は人事権を使って最後の反抗を試みていることにも注意が必要になる。しかも、首相が頼みとしているのは国民新党の亀井氏であることを考えれば、このまま菅政権が継続した場合には国債増発圧力がさらに増す可能性すらありうる。

 また、自民党の浜田和幸参院議員の政務官への就任は、亀井氏のアドバイスによる自民党参院議員の引き抜きが目的で、これによりねじれ国会を打破しようとの目論見にもみえるが、これはむしろ協力すべき自民党の反発を強めることになりかねない。

 このような状況下、特例公債法案については強行に採決に持ち込めば自民党の反発を招かねず、衆院で再可決に必要な三分の二以上の勢力確保はかなり困難になる。60日ルールを念頭に置けば少なくとも7月2日までに特例公債法案の衆院通過が必要となるが、時間が迫る中、その目処すら立たない状況にある。

 米国でも債務上限引き上げを巡り与野党の攻防が続いているが、日本では与党対野党だけではなく、首相対与党対野党というわけがわからない状況に追い込まれているため、なおさら収拾がつかないような状況にある。

 格付会社のムーディーズは社会保障と税の一体改革の取りまとめが難航していることに対し、債務抑制につながる枠組みができなければ「日本政府の信用力にマイナス」として、今後の日本国債の格下げの可能性を視野に入れている。

 格付会社に指摘されるまでもなく、今回の政治の混乱により債務抑制はむしろ厳しくなる可能性がある。日本政府そのものへの信用力が低下しつつあることも確かなのではなかろうか。

 日本政府の信用力をバックに買い支えられている日本国債である以上、海外要因ばかりに目を向けるのではなく、このような国内要因にもう少し目を向けても良いのではないか。そろそろ、政府に市場が警告を与えることも必要になってきているようにすら思われるのである。


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by nihonkokusai | 2011-06-29 08:27 | 国債 | Comments(0)
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