日銀短観の予想とその影響
短観は他の経済指標に比べて、速報性に優れており、企業が認識している足元の業況判断とともに先行きの業況についてどのような予測をしているのかを見るためにも貴重な指標となっている。その意味でも震災後の企業の景況感を確認する上でも、注目の指標となる。
ちなみに前回の3月調査は基準日が、ちょうど大震災の発生当日だったことから、その影響がほとんど反映されていなかった。
また、今回の6月調査は従来通りの方法により、東北6県の企業(全規模合計で747社、全国に占める割合は6.8%)についても引き続き、調査対象企業としているが、被災された企業をはじめ一部で回答困難となることが予想される(日銀サイトの「2011年6月短観の実施方法等について」より)。
NHKの報道などによると民間の10の調査会社の予測では、大企業・製造業の業況判断DIは自動車や機械などの業種で生産が震災前と比べて低い水準にとどまっているなどとして、平均でマイナス6となり、プラス6だった前回と比べて12ポイントの大幅な悪化との予想となっている。東日本大震災により多くの設備がダメージを受け、サプライチェーンが分断され、電力不足などの影響が出ていると予想される。マイナス転落となると2010年3月調査以来、5四半期ぶりということになる。
ただし、先行きの判断については、自動車産業を中心にサプライチェーンの復旧が予想以上のピッチで進むなどしており、復興需要への期待感も加わり、プラスまたはゼロに改善すると予想している向きが多いようである。
短観と日経平均株価の動向を重ね合わせてみると、そのピークやボトムが一致しているケースが多い。日経平均株価は震災を受けて3月15日に8227円63銭まで急落したものの、その後は9000円台を回復している。ただし、1万円手前でのもみ合いともなっており、景気についてもいったんボトムをつけてはいるが、本格的な回復には至っていないように思われる。このあたりも短観により、ある程度確認できるのではないかとみられる。
短観による債券市場への影響については、予想と大きな乖離が出ない限りはあまりないとみている。足元の悪化はかなり織り込まれており、先行きDIの方が関心が高いように思われる。
現在の日本の債券市場は国内景気よりも、米国の景気減速や欧州の債務問題に絡んでの米国債やドイツ連邦債の動きに影響を受けやすくなっており、国内景気が予想以上のピッチで回復とでもならない限りは、材料視しにくい面がある。
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