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震災により国債を取り巻く環境の変化

 6月8日に発表された4月の国際収支統計では、経常収支は4056億円の黒字となり、大幅に減少した。この減少要因としては貿易収支が4175億円の赤字となったことに加え、サービス収支が4213億円の赤字となったことが大きい。

 東日本大震災等の影響により輸出が減少した半面、輸入が増加したことにより、貿易収支は赤字に転じた。ちなみに4月の米貿易赤字が減少したが、この要因のひとつに震災の影響により日本からの輸入が減少したことが指摘されている。

 さらにサービス収支も4213億円の赤字となっていたが、これは東日本大震災後に世界中で訪日自粛ムードが広がったことにより、入国者数の大幅減少を主因に旅行収支の赤字幅が拡大したことが大きく影響している。

 ただし、所得収支が1兆3308億円の黒字となっていることから、貿易収支の赤字転換やサービス収支の赤字を相殺した格好となっていた。

 このように国債需給にも影響を与えかねない経常収支の黒字幅の縮小は気掛かり材料ではあるが、所得収支が大きいことで当面の赤字転落は考えづらく、また生産の回復とともに輸出も回復することが予想され、貿易収支の改善も見込まれる。

 しかし、震災をきっかけにサプライチェーンの問題が表面化し、また原発事故や、それによる電力供給不足の問題により、産業の空洞化リスクもある。これにより日本の貿易構造そのものが大きく変化し、貿易収支の改善が進まない可能性もありうる。

 そして、震災や原発事故への対応により銀行貸出にも多少なり影響が出ており、8日に日銀が発表した銀行貸出においてマイナス幅が前月より0.2%縮小している。これについて日銀は「設備投資のための資金需給は引き続き弱いが、東日本大震災後に運転資金の需要が増えている」としている。

 日本国債を買い支えているのは国内資金である。特にここにきては貸し出しの伸び悩みや、企業の手元資金の増加分が新規に発行される国債を買い支えてきた面がある。しかし、今後は震災の影響を受けて企業の運転資金の増加も見込まれることで、それに頼ることが出来なくなることも考えられる。

 第二次補正予算においては国債増発が予想されている。財源を特定しての復興国債の発行となったとしても、来年度以降も将来の税収を担保に発行される巨額の新規財源債を発行しなければならない状況下ではあまり意味をなさず、その分、国内資金での国債消化余力を減少させることになる。

 震災や原発事故による影響により、国債を取り巻く環境は悪い方向に向かう可能性がある。これですぐに国債需給に影響を与えるわけではない。実際に現在でも長期金利は1.1%台にあるなど低位安定している。しかし、少し長い目で見れば、決して安寧としてはいられないことも確かであろう。

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by nihonkokusai | 2011-06-11 11:54 | 国債 | Comments(0)
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