日本の中長期債の購入を増やしている中国
そして、6月8日に財務省が発表した4月の国際収支によると、中国がネットで中長期債を1兆3300億円買い越し、短期債を1兆4887億円売り越していたことが明らかになった。
ちなみに財務省の発表した国際収支から、この中国の数値を拾うには、財務省のサイトの関連資料・データ、国際収支状況、報道発表資料(発表日別)に入り、平成23年の6月8日発表分の中の付表3(対外・対内 証券投資)のPDFを開く。そのPDFファイルの下の方に、対内証券投資(地域別内訳)があり、そこで確認できる。
中国の外貨準備は3月末で3兆447億ドルと3兆ドルを越えている。その運用先として米国債を主体とするドル資産から、他通貨の資産への乗換を行なっているとみられ、実際に中国の保有する米国債は減少傾向にある。
これは「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」からも確認できる。中国による米国債の保有額は2010年8月に1兆1753億ドルあったものが、今年3月には1兆1449億ドルに減少している。
中国の巨額な外貨準備の運用先のひとつとして日本の債券(ほとんどが国債か)が選択されているとみられる。ただし、短期債では利回りが低いため、より高い利回りを求めて中期債あたりに比重を移している可能性がある。
日本国債への中国からの投資は政治的な意図はあまりないとみられ、為替市場で円が安定していることもあり、投資先として日本の債券が選択されるのは理にかなっている。ただし、今後も日本の債券を安定的に中国が購入してくるかどうかは不透明である。むしろ足の早い投資家、といった感じでみておくほうが良さそうである。
日銀の資金循環統計は今月17日に2011年3月末の数字が発表される予定であるが、2010年12月末の段階でも、資金循環統計から見た海外投資家による日本国債の保有比率は4.8%しかない。多少、中国の保有が増加してもこの保有比率は大きくは変わらないとみられる。
ただし、日本国債を売買する投資家として中国がそれなりに存在感を示しつつあることも確かなようである。中国が日本の債券動向に関する情報を求めているといった話も聞く。日本の債券相場に影響をあたえる投資家のひとつとして、中国が入ってきていることも確かなのではなかろうか。
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