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沈静化していない日銀による国債引き受け論

 復興国債の日銀引受に関する報道が一時期、あちこちで見られたが、それについては野田財務大臣や枝野官房長官による、政府では検討していないとの発言によりいったん収まった。それをマスコミに流したとされる政府関係者からも結局、日銀の国債引受に関する慎重論が出ていた。しかし、それが完全に収まったようには思えない。

 また、これまで日銀による国債引受には慎重論を唱えていたとみられる人たちからも、日銀引受を行っても良いのではないかとの意見も垣間見れるようになってきたとも聞く。そのひとつとして、5月26日の大機小機の「無利子国債の日銀引受」がある。

 ところがこのコラムの中では、10兆円規模の復興国債を発行し、それは「非常事態への対応策として、無利子国債の形式で日銀引き受けとすべきである」としている。「使途の特定、償還期限の順守を必須とすれば、この方策も十分配慮に値する」とある。

 そもそも10兆円程度の国債をなぜ日銀に引受させなければいけないのか。今後も毎年度50兆円規模の新規国債の発行が予想されているのに、今の状況で10兆円の国債が民間で消化できないはずはない。もしも、消化できなかったならば、それこそ大きな問題となる。

 しかし、この日銀による国債引受については、国債を良く知る人たちからも主張がなされている。国会議員にも日銀の国債引受を主張する者もおり、金融市場にも精通しているはずの国会議員から政府紙幣の発行を求めるような声も出ているという。

 これまで格下げなどにより日本国債が売られるようなことはなかった。国内で消化できていたことももちろん要因であるが、それは日本国債への市場への信認が厚かったためでもある。しかし、日銀が国債を引受けることにより財政規律の弛緩が意識され、その信認が崩れたら何が起きるのか。これはやってみなければわからないものではあるが、ギリシャの例を見る限りリスクは大きすぎる。国債格下げにも敏感となり、国債利回りは急騰することが予想される。

 ギリシャと日本では経済規模などからは比較にならないとの見方もあるかもしれないが、国債発行が「信認」に基づいて行われていることに変りなく、むしろ信認が失われても日本国債は安泰と考える事のほうが難しい。さらに国債残高の大きさを考えると、日本の長期金利が数%上昇するとそれだけで金利負担が膨大なものとなり、財政はさらに悪化するなどその状況はあまり想像したくはない。

 大機小機での真和氏は「使途の特定、償還期限の順守を必須とすれば、この方策も十分配慮に値する」している。たとえ政府がそれを明確に打ち出したとしても、それ以降、国債引受が継続されるリスクの方が高い。そもそも国債を日銀に引受させるという行為そのものが財政規律を乱すものであり、いったん初めてしまえば、歯止めなど掛けたところでそれが守られると考える事のほうが困難である。


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by nihonkokusai | 2011-06-06 19:32 | 国債 | Comments(0)
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