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長期金利1.1%の壁の背景

 日本の長期金利は5月2日に1.2%を割り込み、16日に1.105%まで低下した。しかし、その後は1.1%が目先の壁として立ち塞がり、その手前でもみ合うような状況が続いている。この1.1%という水準が壁となるような理由は見当たらないものの、ここからは積極的には買いにくい理由が存在しているためとみられる。

 今回の日本の長期金利低下の背景のひとつが、欧米での長期金利の低下である。4月あたりから欧米の長期金利は低下し、米10年債利回りは23日には一時3.1%割れとなる場面もあった。また、ドイツやイギリス、フランスなどの長期金利も同じように4月あたりから低下している。

 この日米欧の長期金利の背景のひとつは、日本の震災を受けて世界経済への影響がある。米国を見ると企業業績の回復などから景気に対する強気の見方が、日本の震災後は景気減速も懸念され、むしろ悪化した経済指標などの影響を受けやすくなった。

 もうひとつ、ギリシャの債務問題が再燃したことも、安全資産として米国債やドイツ連邦債が買われる要因となった。また、ギリシャなどの債務問題による欧州経済への影響なども危惧された面もある。

 しかし、日本の震災による景気への影響については一時の悲観的な見方が後退しつつある。予想以上のピッチでサプライチェーンが回復しており、自粛ムードで懸念された個人消費についても全般に落ち込みを見せる中、たとえば節電目的などによる白物家電の出荷額が大きく増加するなど意外にしっかりしている面もある。

 経済指標に目を向けても、4月28日に発表された3月の鉱工業生産指数は前月比15.3%のマイナスと調査開始以来、過去最大の下げ幅となったものの、生産予測指数では4月が前月比3.9%のプラス、5月も2.7%のプラスと大きく改善する見通しも示された。

 また、5月12日に発表された4月の景気ウォッチャー調査では景気の現状判断Diが28.3と前月比0.6ポイントの改善となり、2~3カ月先を見る先行き判断DIは38.4と、前月比11.8ポイントと大きく上昇となっていた。

 このように今後は景気に対してあまり悲観的に見ることにもリスクが出てきていることも確かであろう。すでに長期金利は1.1%近くまで低下していたことで、このあたりで少し様子を見てみたいとの投資家も多いのではないかと思われる。

 さらに中期債についても5年債利回りの0.4%がやはり心理的な壁となりつつある。4月に大量に売り越していた都銀であるが、例年のパターンからは翌月、つまりは5月には大量に購入するとの観測もある。しかし、4月の都銀による売りは期初の益出しを先行させたことだけではなく、震災の影響で貸し出しが改善されてきたことに加え、3月における東電への2兆円の緊急融資なども影響していたのではないかともみられている。このためこれまでのパターンのように5月に都銀が大きく買い越してくるのかどうか、いまのところ不透明である。 ただし、量は増やさずとも保有する債券の残存期間を延ばしてくるような可能性はある。

 東電に絡んでみれば、枝野官房長官発言をきっかけとしての東電債への影響もあり、これも債券市場には微妙に影響を与える懸念がある。また、震災復興のための二次補正が先送りされたといえども、いずれ国債が増発されることは確かである。さらに今年度の特例公債法案は政争の具にされ、成立の目処すら立たず、これが相場の撹乱要因になる懸念もある。

 このようにいくつかの懸念材料もあり、また、景気の先行きについてもあまり悲観的な見方も後退するなど、長期金利が1%を割り込んで低下するようなシナリオが描きにくくなっていることも確かであろう。もしかすると長期金利で1%程度までの低下はあるかもしれないが、そこからさらなる低下が見込めないとなれば、あまりリスクを犯したくはないところではなかろうか。それが日本の長期金利での1.1%が壁となっている理由ではないかと思われる。

 もしこの1.1%を抜けてさらに低下するのならば、それは国内要因よりも、米国の長期金利低下を促すような材料が出たときではないかと予想される。


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by nihonkokusai | 2011-05-27 08:21 | 債券市場 | Comments(0)
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