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専務理事人事で揺れるIMFとは何か

 性的暴行容疑で逮捕・訴追されている国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事が5月19日に辞任した。これにより次の専務理事が誰が就任するのか注目されている。

 候補者としては、フランスのクリスティーヌ・ラガルド経済・財政・産業相(法的問題が浮上?)、ECB総裁の有力候補でもあったアクセル・ウェーバー前ドイツ連銀総裁(キャメロン首相が難色?)、そして新興国からはトルコのケマル・デルビシュ元経済財務担当相、グリアOECD事務総長(メキシコ)などの名前が上がっている。

 これまでIMFのトップである専務理事は慣例的に欧州から選出されてきたが、今回、中国から専務理事は透明・公平に選出すべきとの意見が出るなど、ここにきて存在感の増している新興国からは全ての加盟国から候補者を選ぶべきとの意見も出ている。

 それでは何故、IMFの専務理事の人事が重要なのか。あらためてIMFとは何であるのかを確認してみたい。

 世界恐慌の苦い経験を繰り返さないために、イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズとアメリカ財務次官補のハリー・ホワイトがそれぞれ草案を出した。ケインズ案は、世界の中央銀行的性格を持つ機関を設立し、加盟国が勘定を開き各国間の決済はその相互振替によって行ない、不足の場合は当座貸越で処理するという形を考えていた。これに対しホワイトは各国からの資金の拠出により基金が必要資金を貸し付けるという案を出したのである。

 この両案についての討議がくり返されたが、すでに世界経済はアメリカに大きく依存するようになっており、いずれの国も戦後の復興についてはアメリカの協力にあおがざるを得なかったことなどからアメリカ案に近いところで妥協された。

 こうしてホワイト案を骨子として修正を受けて出来上ったのが、国際通貨基金協定と国際復興開発銀行協定で、総称としてブレトン・ウッズ協定またはIMF協定と呼ばれた。

 1947年にIMF協定が発効され、ワシントンに為替相場と通貨の安定を目的とした国際通貨基金(IMF)が国際連合の専門機関として設立された。

 IMFと同様にブレトン・ウッズ協定によって、ワシントンに本拠を置く国際復興開発銀行(世界銀行)も設立された。1946年に業務が開始され、1947年からは国連の専門機関となった。

 IMFの執行機関は理事会であり、24名の理事により構成されている。理事会の議長と国際通貨基金の代表を務めるのが専務理事(managing director)である。そしてIMFの専務理事には欧州出身者、世界銀行の総裁には米国出身者が選出されるのが暗黙の了解になっている。現在の世銀総裁は元アメリカ合衆国国務副長官であったロバート・ゼーリック氏である。

 IMFの目的は協定第1条に規定されているが、加盟国が通貨に関して協力し、為替相場の安定を促進することにより国際金融秩序を維持し、また為替制限を撤廃することによって世界貿易の拡大をはかり、もって経済成長を促進させるということである。

 IMFは、国際収支危機を未然に防ぐための加盟国のマクロ・為替政策に関するサーベイランス(監視)、加盟国の国際収支調整及び経済構造調整のための融資、財政金融制度の整備や統計作成のための技術支援等を行なっている。

 これまでのIMFの活動としては1997年のアジア危機において、韓国政府がIMFに200億ドルの緊急支援を要請し、これにより韓国はIMFの管理下に入った。IMFはこの際に史上最大規模となる210億ドルの融資の実施を決定した。

 また、最近では欧州での信用不安に対してIMFは欧州連合とともにギリシャやアイルランド、ポルトガルの救済に取り組んでおり、今回の専務理事人事については、かなり神経質にならざるを得ない面もある。欧州諸国としてはこれまでの慣習通りに、欧州から専務理事を出したいところであろう。


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by nihonkokusai | 2011-05-23 08:22 | 国際情勢 | Comments(0)
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