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第一次補正予算の財源問題と財政再建へのリンク

 総額4兆0153億円の2011年度第1次補正予算案は、4月30日に衆議院本会議で可決の後、5月2日に参議院本会議でも可決・成立した。この財源は、子ども手当や高速道路無料化・料金割引といった民主党のマニフェスト施策を含む歳出見直しとともに、当初予算において基礎年金に繰り入れるはずであった基礎年金の国庫負担割合(2分の1)を維持するための2兆4897億円を流用する。

 政府は2012年度以降に増税し、年金財政にあく穴を埋める意向と伝えられている。しかし、震災直後の増税論議には慎重論も根強い。このため、今回の転用分が確実に埋められるかどうかは不透明である。これが返済されるまでは、年金給付に足りない分は年金積立金を取り崩して賄うとみられるとも伝えられた。

 震災前の段階で政府は基礎年金の国庫負担維持に必要な2.5兆円について、2011年度は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金などの「埋蔵金」を使う。2012年度以降は税制の抜本改革による増税分を充てる方針だった。しかし、震災後はそれを復旧費に回し、税制の抜本改革との方針を2011年度に1年前倒しすることで決着したと伝えられた(5月1日毎日新聞ネット版より)。

 元々、2012年度以降分を増税で賄うとの方針は、2011年度末までに消費税増税を法律で決め、その後に実施するとの順番が大前提となっていた。準備期間の関係により実際の増税は2014年度以降になる見通しだが、その間年金積立金の取り崩しが続いても、将来の増税が法律で担保され返済の見通しがついていた格好となる。しかし、2011年度分も将来の増税でまかなうという今回の前倒し方針は、法改正による増税の裏付けがなく、返済の保証もないという(毎日新聞)。

 第一次補正予算については当初、財政支出2兆円規模を軸に調整するとされていた。この財源については2011年度予算の予備費1兆1600億円の活用と、主要政策の削減によるものとされていた。しかし、いつの間にか規模が4兆円となり、その財源に基礎年金の国庫負担維持に必要な2.5兆円が含まれていた。

 第一次補正予算については財源として国債増発は回避させることが念頭に置かれていたとみられ、国債増発に頼らず、基礎年金の国庫負担割合を維持させるため2.5兆円を活用することにより、将来の消費税引き上げを担保させた格好ともなったのである。

 これはある意味、財政再建を見据えた動きとも言える。ここにきての日本の財政悪化の大きな要因は社会保障関係費の伸びであり、財政再建のためにはここに切り込む必要があるが、それをある程度維持させるためには消費税の引き上げは避けられない。

 しかし、政府は消費税引き上げに言及しても選挙の結果を恐れるあまりに、実現性には乏しい状況が続いている。今回の第1次補正予算の財源に基礎年金の国庫負担割合を維持させるため2.5兆円を活用したことによって、政府は増税に向けて動かざるを得なくなったとも言える。


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by nihonkokusai | 2011-05-16 08:23 | 国債 | Comments(0)
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