「『死』を子どもに教える」
今の子ども達は、意識的に「死」が遠ざけられてしまっていることで、若年層の凶悪犯罪が多発し、簡単に自殺してしまう子ども達が増加している。私自身は実の父親を自宅で目の前で亡くしていることに加え、祖父母の死も直接目にしている。それは悲しい思いではあるものの、人間としては、乗り越えなければならないものであり、そういった経験がなければ「死」というものは実感できない。
この本は、教育現場での実例などを元にして、子ども達にも「死」ということを教えるデス・エデュケーションの必要性を説いている。「死」をもっと現実的に考えさせることで、ゲームなどで「リセット可能」との認識をも持っている子ども達の意識を変化させることは必要であろう。この本は、教育者のみならず子どもを持つ我々親にとっても、一度読んでおく必要があるのではないかと思う。
『「死」を子どもに教える』宇都宮直子、中公新書ラクレ