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トリシェECB総裁の後任はドラギ氏

 これまで態度を保留していたドイツのメルケル首相がドラギ氏を支持と明言したことにより、トリシェECB総裁の後任に、イタリア中央銀行のマリオ・ドラギ氏の就任がほぼ決まった。

 5月12日付の日経新聞によると16日のユーロ圏財務省会合で総裁候補に指名され、6月下旬の欧州連合首脳会議で就任が正式に決定されて11月に就任する見通しとなっている。任期は8年となる。

 マリオ・ドラギ氏は世銀のエクゼクティブ・ディレクター、イタリア経済財政大臣、ゴールドマン・サックス副会長を経て、2006年1月にイタリア中央銀行総裁に就任している。

 マーストリヒト条約では、総裁を含むECB役員会メンバーは、ユーロ圏の国籍を持ち、金融に精通した専門家の中から選ばれる。ECB総裁の人事についてはドイツとフランスの駆け引きが行われており、初代のECB総裁はどちらにも属さないオランダ出身のドイセンベルグ氏が就任した。しかし、ドイセンベルグ氏は任期半ばで予定通り(?)に辞任し、そのあと現在のフランス出身のトリシェ氏に引き継がれた。

 3代目の総裁としてはドイツ出身者が就任するであろうことが暗黙の了解のようになっていた。しかし、トリシェECB総裁の後任として本命視されていたドイツ連邦銀行のウェーバー総裁が「個人的な理由」で4月末に辞任し、ドイツのメルケル首相の目論見が狂った。ドイツ内ではほかに有力候補はいなかったこともあり、メルケル首相もドラギ氏支持に回らざるを得なかったものとみられる。

 ドラギ氏は信用不安を抱える南欧の出身でもあり、今回のギリシャなどのユーロ圏諸国の信用不安に対してどのようなスタンスで望むのかも注目されよう。民間金融機関で働いた経験なども生かせるのではないかと思う。また、スタイルは物価重視の姿勢を取るなど、ブンデスバンクを中心とした欧州の中銀の伝統に近いものがあり、その意味でもトリシェ総裁のスタイルから大きな変化はないと予想される。

 ここで少し欧州中央銀行(ECB)の歴史を振り返ってみたい。1998年6月1日、欧州共同体設立条約(マーストリヒト条約)及び欧州中央銀行制度(ESCB、後述)および欧州中央銀行(ECB)に関する定款に基づき、欧州中央銀行(ECB)と欧州中央銀行制度(ESDB)が設立された。

 欧州中央銀行(ECB)はユーロ参加国で構成されるユーロ圏の金融政策を担っている。米国は連邦制度となっていたことから、連邦準備制度という形式での中央銀行を作ったが、ユーロ圏の経済統合の結果、ユーロシステムを構成しているそれぞれの国の中央銀行は、その役割を欧州中央銀行というひとつの銀行に委ねた。欧州の通貨統合により単一通貨であるユーロが導入され、ユーロ圏の金融政策は欧州中央銀行が行うこととなった。

 これにより、米国のFRBと並んで大きな影響を与えてきたドイツのブンデスバンクをはじめ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギーなどの中央銀行は、欧州中央銀行に対しての調査や銀行監督などの支援業務が中心となったのである。

 欧州中央銀行の政策決定については理事6名とユーロ圏の央銀行総裁13名の計19名から構成されている。米国の連邦準備制度では理事会メンバーが数の上では、地区連銀の代表者よりも多くなっていたが、欧州中央銀行では専属の理事よりも各国中銀メンバーの方が数の上で多くなっており、各国中銀総裁の影響力が大きい。このことからも、共通した金融政策を決定する難しさといったものも感じられる。これもあってか欧州中央銀行の政策決定にあたって、議事録や議事要旨、さらに票決の結果といったものは公表されていない。


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by nihonkokusai | 2011-05-13 10:07 | 日銀 | Comments(0)
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