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政策委員による国債日銀引受に対する見解

 4月6日、7日に開催された日銀金融政策決定会合議事要旨には、日銀による国債引受に対する政策委員の意見もあった。

 「ある委員は、最近、復興財源を捻出するため、日本銀行が国債を引受けるべきとの主張が一部に聞かれるが、そうした取り扱いは、初めはうまくいったようにみえても、早晩、激しいインフレを招き 、国民生活に大きな打撃を与えたというのが歴史の教訓であり、この点について、広く理解を得る努力を続ける必要があるとの認識を示した。」

 4月7日の会見で白川日銀総裁は次のように発言している。

 「いったん中央銀行による国債引受けを始めると初めは問題はなくても、やがて通貨の増発に歯止めが効かなくなり、激しいインフレを招き、国民生活や経済活動に大きな打撃を与える」

 このある委員とは発言内容からみて、白川総裁によるものと考えられる。この意見についてはまったく同意である。日銀はすでに国債引受を行なっているので問題ないとの一部意見もみられるが、日銀乗換にしろ、国債の買入れにせよ、結果的に日銀が国債を保有することになるものの、目的はマネタイゼーションではない点に注意すべきである。

 「これに関し、複数の委員は、中央銀行による国債引受けが行われ、通貨への信認が毀損すると、長期金利の上昇や金融市場の不安定化を招き、現在、円滑に行われている国債発行が困難になる惧れもあるとの認識を示した。」

 円に対する信認と国債に対する信認はどちらも政府に対する信認となる。日銀によるマネタイゼーションとしての国債引受を行うことにより、政府の放漫財政に歯止めが効かないと意識され、それは国債と通貨である円そのものの信用を毀損する。

 「このうち一人の委員は、通貨への信認は、わが国の金融・経済にとっての重要なインフラの一角をなすものであり、国民生活の安定のためにも、そうしたインフラをしっかりと維持することがきわめて重要であると付け加えた。」

 円の信認を守るため国債の信認を低下させることをすべきでないというよりも、国債の信認そのものを維持することこそが重要である。ただし、それは政府の仕事である。通貨の番人たる日銀は円の信認維持が重要であるとの認識であろうが、この発言者は日銀出身者で、総裁以外の委員の発言ではないかとも想像される。そうとなれば山口副総裁による発言である可能性がある。

 そして、政府関係者として出席していた櫻井充財務副大臣からも次のような発言があった。

 「復興財源を日本銀行の国債引受けにより調達するとの報道等があるが、政府としてそのような検討は全く行っていない。財政法第5条において、歴史的な反省から、公債の市中消化の原則を定めていること等を踏まえれば、国債の直接引受けについては慎重に考えるべきであると考えている。」

 野田財務大臣からも同様の発言があったと思う。それにもかかわらず政府が復興財源を日本銀行の国債引受けにより調達することを検討という報道がなされたのはどういうことであったのであろうか。また、櫻井副大臣は「国債の直接引受けについては慎重に考えるべきである」としているが、財政法で禁じられている以上、国債の直接引受けについては行うことはないと言い切るべきものではなかろうか。言い切れないのは党内でそれを主張する人たちが存在しているためなのであろうか。


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by nihonkokusai | 2011-05-11 08:28 | 国債 | Comments(0)
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