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復興国債を発行する意味はあるのか

 東日本大震災の復旧費を盛り込んだ総額4兆153億円の2011年度第一次補正予算が5月2日の参院本会議で成立し、これから国債増発が不可避とされる第二次補正予算編成に向けた動きが強まるものと見られる。10兆円規模ともみられる二次補正は復興国債の発行も有力視されている。復興国債は通常の国債との別に、償還財源を将来の増税で賄い早期の償還を目指すというものである。

 しかし、巨額な政府債務を抱えている中にあり、あらたに財源を消費税を含む増税を別枠に設定して国債発行をする意味があるのであろうか。財源確保は重要であるが、それは復興国債に限ったものではなく、これまで発行されたもの、そしてこれからも発行されるであろう国債についても同様に重要である。新規国債は来年度以降も50兆円規模が発行されることが想定されているにもかかわらず、もし10兆円程度の国債増発が警戒されるような国債需給環境であるのならば、それはそれで危機的状況であると言える。しかし、現在の債券市場にはまだ消化余力は存在しているはずである。

 本来であれば今後の消費税増税などは財政健全化に向けた政府債務全体の削減のために活用すべきものである。今回の復興国債は通常の国債と同様の発行を行った上で、政府の抱える全体の債務に対する償還財源問題を検討すべきものではなかろうか。

 補正予算に伴う国債増発により、その分、日本国債が国内資金で賄えなくなるまでのタイムリミットが短縮されることは確かである。もし日本国債が国内資金で賄えなくなった場合の影響は、今回の震災による日本経済への影響を遥かに凌ぐことが予想される。一部で論じられた日銀による日本国債の引き受けは一時的な時間稼ぎとなろうが、それはその後の危機をさらに増幅させることになる。このため、今そこにある危機への対象も重要ながら、将来の危機を防ぐことも重要である。

 今回の震災を受けての日本経済を立て直し、税収を回復させることにより政府債務の危機を回避することも重要になる。震災復興と景気回復、そして政府債務の改善を同時に図ることはなかなか困難であることは理解できるが、それを今やる必要がある。これまで先送りされ続けてきた政府債務の改善についても、これまで大丈夫だから将来も大丈夫という認識は危険である。すでに債務残高が膨れ上がっている中にあり、国内金融資産そのものの伸びが止まる中、いまは国債消化に問題はなくても、年間50兆円規模もの新規国債を消化する国内の余力が、それほど何年も先まで残されているとは考えられない。

 特例公債法案を巡る攻防、さらに二次補正の財源問題について与野党でやりあうのならば、日本の現在と将来の危機を回避すべく建設的な議論が求められる。ここでもし失敗するようなことがあれば、近いうちにそれは長期金利の急騰といったかたちで市場の反乱を招くことが予想される。


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by nihonkokusai | 2011-05-08 13:44 | 国債 | Comments(0)
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