初のFRB議長による定例記者会見
金融政策は金融市場を通じて効果が発揮されるため、市場との対話が金融政策の効果を高める上では大変重要なものとなっている。FRBのバーナンキ議長も「市場の先行きの短期金利予想に最も直接的に働きかける手法は、トークである」と以前から発言していた。
ところが日銀やECBが行なっている定例のトップによる記者会見については、「リアルタイムの透明性は非常に重要で価値があるものの、その一方で、当座の発言が誤解される恐れがあり、それにより望ましくない不必要な不透明性、金融市場における不必要な変動が起きかねない」(2月3日のバーナンキ議長の講演より)との理由などから、これまで行われてこなかった。しかし、バーナンキ議長本人による強い働きかけなどにより実現したものと思われる。
今回の会見については、FOMCの終了予定時間だけでなく、国債入札の時間も変更されるなどかなり用意周到となっていることが伺える。WSJの記事では、「バーナンキ議長は自身の考えというよりも、FOMCでの決定の総括に力を入れるとともに、メンバーの一致した見方を優先する見込み」とある。そして、「記者団からの質問内容については事前には知らされない」そうである。
バーナンキ議長はナショナル・プレスクラブでこれまで2回にわたり、報道陣の質問を受けているため、記者会見そのものの経験はある。しかし、今回はFOMCという金融政策を決定する会合に関する会見となることで、世間の注目度も高く雰囲気はやや異なるものとなったようである。実際の会見については、バーナンキ議長本人だけでなく質問する記者も緊張の色も隠せず、多少、固さも見える中、そつなくこなしたような印象だったようである。
過去の日銀総裁の会見を見ると、総裁の個性の違いにより会見の状況もやや異なっていたかに思う。速水元総裁は日銀法の改正後に始められた総裁会見のスタイルを形作った総裁と言えるが、ある意味、頑な姿勢が垣間見えた。これに対して福井前総裁は柔軟な対応を示し、会見もそつなくこなされていた感じを受ける。そして、現在の白川総裁は一言で言えば、隙がない。ただし、その分、やや面白みに欠ける部分もあるかに思う。総裁会見に面白さは必要ないかもしれないが、その場を和ませる会見は聞き手にとってもやりやすいのではなかろうか。これはバーナンキ議長にも同様のことが言えそうである。
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