第1次補正予算等に絡んだ国債増発について
また、日本政策金融公庫の危機対応融資や中小企業向け融資の拡充のため、2011年度当初の財政投融資計画(14兆9059億円)に4兆3220億円を追加し19兆2279億円とするそうである。22日に開催された国債市場特別参加者会合(PD懇)でも、冒頭の財務省の説明で「危機対応融資等の財政投融資の追加を検討しており、その半分を財投債の増発で、残りを財投FBの発行で調達することが検討されている」(議事要旨より)とあった。今回の財投に絡む対応により、財投債が2兆円と財政融資資金証券が2.3兆円追加発行される見込みである。
以上の第一次補正予算等によるカレンダーベースでの市中消化における国債の増発はない。建設国債1.22兆円増、特例国債1.22兆円減という組み換えも行われるようであるが、今年度の新規財源債(建設国債と特例国債の合計)そのものは44.3兆円として変化はない。また、借換債の111.3兆円も変わらずとなるが、財投債は当初の14兆円から16兆円になる。このため今年度の国債発行総額は財投債の増額が2兆円加わり、当初の169.6兆円から171.6兆円に増額される。
この財投債の増発については消化方式別発行額のうち「前倒債発行減額による調整分」で対応するようである。
これに関しては21日のPD懇で、「22年度の前倒債の発行額は、年度当初は8.1兆円を見込んでいたところ、財投債の不用の発生(7.1兆円)や第Ⅱ非価格競争入札での発行額が予定を上回ったこと(2.8兆円)などの一方、個人向け国債等の販売が下回ったこと(1.2兆円)などにより8.8兆円増え、16.9兆円となった。」「本年度当初計画では前倒債を6.4兆円取り崩すこととしていたが、これに先ほど説明した財投債の若干の増発分を増額することを検討している」との説明があった。
つまり昨年度は発行が予定されていた財投債15.5兆円のうち7.1兆円分の発行が見送られたことなどもあり、今年度の国債発行額に加わる6兆3893億円を除き、結果として10兆5301億円もの発行余力を保持している。この分から2兆円の財投債の増発分を、この前倒債の取り崩しにより調整することになる。
ただし、今後は二次補正の編成も視野に入る。これによる国債増発も想定されるが、市中発行増額をできるだけ抑制するためのさらなる前倒債の取崩しによる対応について、財務省から以下のような説明があった。
「更に取り崩すに当たっては、24年度の発行計画への影響も含めて検討する必要がある。仮に前倒債の残額全てを今後の補正予算の財源に充てると、24年度発行計画においては前倒債の発行減額による調整分を活用することができなくなり、大幅な市中増発の要因となることに留意が必要である。」
このように、さらなる前倒し債の取り崩しについては限度があるとみられ、二次補正についてはある程度の市中消化分に関わる国債増発は避けられないものとみられる。もちろんこれは二次補正の規模などが明らかにならないと、国債増発額がいくらになるのかはわからないところではあるのだが。
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