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原発事故の賠償金支払いのための基金に交付国債を交付か

 NHKの報道などによると、福島の原発事故の賠償金支払いのため、国が賠償原資として数兆円規模の公的資金を用意し、このため必要に応じて現金にできる、交付国債を交付すると伝えられた。

 これは本来であれば東京電力が支払う必要があるものだが、損害額は数兆円規模とみられ東電だけでは負担しきれない。このため、政府は東京電力に資金支援を行う基金のような組織を新たに設立し、この組織の財務面の基盤を整えるため、政府は交付国債と呼ばれる、必要に応じて現金にできる国債を交付する。

 NHKの報道によると、東京電力はこの組織に対して優先株の配当を行うとともに、資金の返済を進める。東京電力に一度に賠償金を支払わせると電力の供給事業に支障が出かねないため、公的資金などの活用で支援する。ただし、東京電力が、電力供給事業で得られる収入から時間をかけて返済できるため、最終的には国の財政負担は招かないとしている。

 交付国債とは、戦没者などの遺族や強制引揚げを余儀なくされた引揚者などに対して、弔慰金、給付金などの金銭の支給に代えて交付されたが、その後、1997年の金融危機に際し、金融システム安定化策として30兆円の財政資金を用意された際に、その財源として交付国債10兆円と政府保証枠20兆円で賄われた。

 預金保険機構に交付される国債の発行等に関する省令によると、この国債の名称は、預金保険機構特例業務基金国庫債券とされ、償還の手続として「政府は、機構から国債の償還の請求を受けた場合において、当該請求に係る金額の償還を行うときは、その償還を行う金額を日本銀行における機構の勘定に払い込むものとする。」とある。

 また、一部の償還の請求を受けた場合の措置として「政府は、機構から国債について、その額面金額又は登録金額の一部につき償還の請求を受け、当該請求に係る金額の償還を行った場合には、国債証券にあっては、当該国債証券と引換えに、当該額面金額から当該償還金額を控除した金額を額面金額とする国債証券を機構に交付するものとし、登録国債にあっては、当該登録金額から当該償還金額を減額するものとする。」とある。

 交付国債とは、債券の発行による発行収入金を伴わず、出資金の払込、弔慰金の支払及び損失補償金等、国が金銭の給付に代えて交付するために発行する債券のことである。このため、債券の発行による発行収入金が発生しない。原則として利子が付けられず、必要に応じて現金化できるが、譲渡は禁じられているものである。

 つまり、今回で言えば政府はこの「基金のような組織」に対して現金を渡すのではなく、国債を交付する。この組織は現金が必要となった時点で保有する国債を償還し現金化するのである。政府は支払いを要求された時点ではじめて予算措置を行い、それに応ずるかたちとなる。


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by nihonkokusai | 2011-04-21 08:32 | 国債 | Comments(0)
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