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米国債は格付け見通し引き下げよりも欧州問題を注視

 米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは、米国債の格付け見通しを安定的からネガティブに引き下げた。これは米国の財政赤字の縮小や連邦債務の削減に関して中長期的に合意できないリスクを意識したものとみられる。大手のしかも米国の格付け会社が自国の国債の見通しを引き下げることは初めてとなる。ネガティブに引き下げとの意味についてS&Pは、今後2年以内に3分の1の確率で格下げの可能性があるとしている。

 オバマ政権は13日に、歳出削減と増税を通じて12年以内に累積赤字を4兆ドル削減すると表明したばかり。しかし、この思い切った債務削減策については、米議会も日本同様にねじれ国会となっており、与野党での財政再建への方法のくい違いなども弊害となってくる可能性がある。米国の連邦政府の債務上限引き上げ問題については、いまだ議会の争点ともなっている。

 S&Pによる米国格付け見通しの引下げを受けて、18日の米国市場で米債は長期債主体に売られたものの、それは一時的なものであった。日本国債も、これまで格下げなどが発表されても、それによる売りは一時的であった。これは日本国債はその95%が国内資金で賄われており、国内投資家が売らなければ下げも一時的なものになるためであるとともに、国債への信認が失われなければ、格付け等の変更による影響は限定的であったためである。

 米国債についてもある程度、格付け見通し引き下げは想定されていたものとみられ、それにより直ちに米国債への信認が低下するわけではない。むしろ信認低下が意識された欧州諸国の動向の方が影響を与えた格好となった。米債はギリシャなどの欧州の債務問題などが意識されて切り返したのである。  欧州ではギリシャのデフォルトは避けられないとの観測も強まりつつある。ギリシャ政府当局者は18日に債務再編のための協議を行っていないと表明したものの、ギリシャの2年債利回りは20%へと大きく上昇した。

 ちなみに債務再編(リストラクチャリング)とは、借り手が借金の返済や発行した債券の償還が難しくなった際に、貸し手と交渉し返済可能な内容に見直してもらうことであり、その方法には、支払い期限の繰り延べ(リスケジューリング)や、元利の一部の返済を免除するヘアカットなどがある。

 週末に実施されたフィンランドの議会選挙では、納税者がユーロ圏の救済措置への資金提供に反対する中、反EUの政党が票を延ばして第3党となるなどユーロ懐疑派が躍進した。ギリシャやポルトガルへの救済のための資金提供などを巡って、加盟国内での反EUの声も強まりつつある。これはユーロシステムそのものを揺るがす可能性も秘めており、通貨であるユーロそのものの信認低下に繋がりかねない状況となりつつある。


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by nihonkokusai | 2011-04-20 08:26 | 国債 | Comments(0)
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