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ニューヨークでの白川日銀総裁講演より

 G20・G7出席のため訪米した日本銀行の白川総裁は、14日にニューヨークで講演し、その講演内容が日銀のサイトにアップされた。震災後、海外での日銀総裁の発言でもあり、その内容については特に海外の関心は高かったのではないかと思われる。

 白川総裁は震災発生時、14日から開催予定の金融政策決定会合に向けて、スタッフによる報告を聞いている最中であった。巨大地震発生を受け、予ねてより用意していた非常時の手順に従い、白川総裁を本部長とする災害対策本部を地震発生から14分後に立ち上げたそうである。

 日銀はまず決済システムと金融市場の安定確保に務め、日本の資金決済と国債決済の根幹を成す決済システムである日銀ネットが正常に稼働していることなどを確認したとみられる。仮に日銀ネットに支障をきたすことがあれば、電力供給が立たれるのと同様、もしくはそれ以上の混乱が引き起これる懸念がある。それだけ日銀ネットは重要なインフラでもある。

 震災による日本経済への影響について総裁は、短期的には供給能力への打撃から、生産を中心に経済活動に大きな影響が及ぶことは必至との認識である。震災の被害が大きかった4県のGDPのシェアは約6%に過ぎないものの、地震の規模の大きさに津波の影響、それによる原発事故もあり、またサプライチェーンを通じた影響、発電設備が大きく毀損したことによる影響などがその要因となる。

 ただし、ボトルネックとなった部品や素材については最優先で復旧が進められており、また、道路や工場、住宅をはじめ、毀損した資本ストック(推定毀損額の対GDP比率は約 3~5%)を復元するための需要も出てくることから、第3四半期以降、GDP成長率は再びプラスに転じるという見方が民間エコノミストの多数説となっていると総裁は指摘している。ここでなぜ、ある意味日本最高のシンクタンクであるはずの日銀の予測を示さず民間の予測を出したのであろうか。まだ正式に公表できる予測が出ていないということなのであろうか、

 そして復興に向けた課題とする中で、復興に必要な資金のファイナンスに関し日本は経常収支の黒字、すなわち、貯蓄超過状態が長く続いており、マクロ的にみてファイナンスが難しいという状況ではないと説明している。外貨の資金繰り能力という点でも、日本は対外純資産が2.9 兆ドルという世界最大の債権国である点も強調し、民間金融機関は、復興の資金需要の増加に十分応えられる状況にあるとしている。さらに国債の発行市場をみても、地震発生後も入札発行は順調に行われており、長期金利も諸外国に比べ低位で安定的に推移しているとしている。

 かなり回りくどい説明になっているようだが、結局、主張したかったのは、このあとの発言にある「この非常に安定的な国債市場を損なう理由はどこにもない。日銀が直接引き受ければ、円に対する信頼感も弱める恐れがある」との考え方であるとみられる。

 震災後の日銀の動きを見る限り、積極的な資金供給や追加緩和などにより、金融市場の安定化をはかり、それが結局、震災後の国債発行をスムーズにさせた一因ともなった。こと日銀に関しては、今回の震災により、その信認はむしろ高まったかとのような印象である。


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by nihonkokusai | 2011-04-16 10:54 | 日銀 | Comments(0)
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