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日本の債務の増加要因と震災による影響

 財務省のサイトにアップされている「日本の財政関係資料」には、バブル崩壊後の1991~2010年度の「失われた20年」で、国の社会保障費が累計で148兆円増える一方、税収は211兆円も減ったとする分析がまとめてあり、これを元にして何故、日本の債務残高がこれほどまでに増加したのか、その理由を探ってみたい。

 1990年度はバブル経済で税収が戦後最高の60.1兆円に達したことなどにより、特例国債(赤字国債)は発行されなかった。しかし、それは一時的であり、1991年以降、公債残高は増加し続けることになる。

 1991年度以降2010年度にかけて、国債発行残高増加額は約471兆円となっている。この中には旧国鉄債務の継承などによる増加分の53兆円も含まれるため、これらを除くと実質的な増加は361兆円になる。この471兆円のうち、歳出の増加分が約192兆円、税収等の減少要因が約169兆円となっている。

 歳出の増加には社会保障関係費が約148兆円、公共事業関係費が約62兆円増でこの2つで多くを占めている。年代毎にみてみると1990年代では経済対策のための公共事業などが増加要因となっていたが、2000年代あたりからは社会保障費が急激に増加していることがわかる。

 特にここ数年、社会保障費の増加が大きく、2010年度も高齢化に伴う自然増や基礎年金の国庫負担割合引き上げ、子ども手当の創設などが重なっての増加となった。社会保障関係費はほぼ一貫して増え続けているが、その半面、地方交付税や教育関係費、防衛費などをあわせたその他歳出は累計18兆円の減少となっている。

 税収など歳入面では、税収が211兆円も減少し、税外収入は41兆円増えた。税収減は景気低迷による影響に加え、度重なる減税も影響した。税外収入は特別会計の埋蔵金活用などで伸びているものの、税収減を補うには至っていない。

 このように政府債務残高の増加要因は、社会保障費の増加がその主因であり、そこに税収の落ち込みも影響していることがわかる。

 このように、日本の財政健全化を進めるには歳出と歳入両面での改革が必要になることがわかる。今後も伸びが予想される社会保障費に対して、税収がこのまま落ち込みを続ければ国債への依存度はますます大きくなりかねない。

 しかし、今回の東日本大震災による復旧・復興のため、これまで抑制されていた公共事業関係費が大きく増加することが想定される。13日付の日経新聞によると、国交省の調べでは3月末までの判明分だけで道路や港湾などの被害額は1.5兆円を超す。これに公共施設や住宅を加えれば失われた社会資本は16~25兆円に達すると見られている。これらの復興については当然ながら必要なものであるが、注意すべきはこれをきっかけにしての過去のような公共事業の復活である。

 すでに巨額債務が存在している日本にとり、日経新聞も指摘しているように、不要不急の公共事業を行う余力はない。震災の影響により財政再建が遅れる可能性はあるものの、日本国債への信認を維持するためには、歳出と歳入両面での改革はそれほど先送りすることができないことも確かであろう。


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by nihonkokusai | 2011-04-14 10:40 | 国債 | Comments(0)
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