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震災後に開催された決定会合の内容

 2011年3月11日の東日本大震災を受けて週明けの14日の朝から日銀は動いた。まず、資金の出し手が資金放出を控える動きが広がり、コール市場での取引が成立しない状況がみられたことから、金融機関などの決済の安定性を確保するため、日銀は大量の資金供給を実施したのである。

 また、3月14日から15日にかけて開催予定の日銀の金融政策決定会合は、14日のみの開催としたが、これはできるだけ早く結論を出すための措置である。この決定会合で日銀は追加緩和を決定し、資産買い入れ基金を総額5兆円から10兆円に拡充した。

 この時の議事要旨が4月12日に発表された。今回はこの内容を確認してみたい。

 最初に執行部からの報告を見てみると、「日銀ネットのほか、主要金融機関の資金・決済システムは正常に稼働しており、資金・証券決済に大きな混乱は生じていない」とあった。日本で最も重要なシステムのひとつである日銀ネットは、今回の震災でも被害はなかった。これは重要なポイントである。そして、当面の課題としては関東大震災の際にもあったように損傷銀行券の引き換えなどに応じられる体制とともに、計画停電への対応などが挙げられていた。

 執行部からの報告における実態経済については「短期的には、経済に対して下押し圧力が加わる可能性が高い。東北地方は、情報通信や電子部品・デバイスの生産額における全国シェアが高い 。サプライチェーンの問題もあって 、現在、東北地方に限らず多くの工場が操業を停止しているほか、電力供給面の制約もかかるため、当面、生産活動に影響が生じるものとみられる 」とし、サプライチェーンの問題等を注視している姿勢が伺える。

 次に委員会での議論を見てみると、地震の影響について多くの委員は企業や家計のマインドが悪化する可能性にも注意が必要であるとの見方を示していた。複数の委員は、今回の地震が一段の国際商品市況高によっても交易条件の悪化が懸念される中で発生したことも、マインド面を通じた経済の下振れリスクをより高めていると指摘した。マインドの悪化は確かに大きな課題となりつつある。

 そして、多くの委員は、家計・企業のマインド面の悪化や市場におけるリスク回避姿勢の高まりが実体経済へ悪影響を与えることを未然に防止する観点から、リスク性資産を中心に資産買入等の基金を増額し金融緩和を一段と強化することが適当であるとの認識を共有し、その結果として、資産買い入れ基金を総額5兆円から10兆円に拡充したのである。

 ただし、基金を通じた国債買入の増額について、「一人の委員は、長めの金利が低下傾向にある中で実施すると、財政ファイナンスであるとの疑念を招く可能性があると指摘し、資産買入の増額は全てリスク性資産で行うべきであるとの意見を述べた」とある。この一人の委員は須田前委員であろう。この反対意見は貴重であると思う。

 また、政府の参加者からは、「リスク性資産の買入額を積み増し、金融緩和を進められることについては、感謝申し上げたい。」「日本銀行におかれては、既に迅速に対応頂いており、感謝を申し上げる」と、日銀に対する感謝の言葉が添えられている。多少、ギクシャクしているようにも感じられる政府と日銀との関係も、震災を機に関係修復の動きも出るのであろうか。


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by nihonkokusai | 2011-04-13 08:34 | 日銀 | Comments(0)
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